全日本中学生「水の作文」~自然環境を見つめる作品などが入選
発表日:2025.07.25
国土交通省水資源政策課は、第47回「全日本中学生 水の作文コンクール」の受賞作品を発表した。本コンクールは「水の日」(8月1日)および「水の週間」(8月1日~7日)の行事の一環として昭和54年より実施されており、次代を担う中学生が水に対する関心を深めることを目的としている。今回は全国および海外の日本人学校から7,482編の応募があり、最優秀賞(内閣総理大臣賞)1編を含む30編の受賞作品が公表された。
入選作品のうち、環境大臣賞を受賞したのは、滋賀県・近江兄弟社中学校1年の福岡京さんによる「僕が守りたい風景、きれいな水」である。作品では、ホタルやザリガニが生息する地域の川や用水路を舞台に、自然と共に生きる地域の人々の取り組みと、自身の素直な気づきが丁寧に綴られている。ホタルの生態を学びながら、福岡さんは「きれいな水」とは何かを問い直し、人間にとっての安全な水と、生き物にとっての豊かな水が必ずしも一致しないことに気づいた。作文には、地域の川での自然観察や水質保全活動への参加経験が描かれ、伏流水や自然浄化の仕組みを調べた上で、家族とともにできる水環境保全の具体的な行動が列挙されている。水道水の塩素が生き物にとっては有害である可能性や、川底の砂利層による自然浄化の重要性など、科学的な理解と感性が融合した内容となっている。福岡さんは、ホタルの光が年々減っていることに気づき、未来に向けて「きれいな水を守りたい」という強い意志を表明した。その言葉には、自然環境を見つめ、地域の生き物たちへの優しいまなざしが込められている。
表彰式は8月1日に東京都千代田区のイイノホールで開催される「水を考えるつどい」にて行われる予定であり、東京都知事賞など地方審査の受賞者も同時に表彰される。