日本の研究プレゼンスに課題感~文科省、国際連携強化を指摘
発表日:2025.08.08
文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は、「科学技術指標2025」および「科学研究のベンチマーキング2025」を公表した。これらの報告書は、日本および主要国の科学技術活動を客観的・定量的に把握するための基礎資料であり、約160の指標を用いて研究開発費、研究者数、論文数、特許数、産業貿易収支比などを体系的に分析している。
「科学技術指標2025」によれば、日本の研究開発費および研究者数は主要7か国中第3位であり、論文数(分数カウント法)は世界第5位、特許(パテントファミリー数)は世界第1位である。ハイテクノロジー産業貿易収支比は第6位、ミディアムハイテクノロジー産業では第1位とされ、これらの順位は前年と同様である。
一方、「科学研究のベンチマーキング2025」では、論文数や高被引用論文(Top10%・Top1%)の割合を用いた詳細な分析が行われた。日本の国際共著論文数は長期的に増加しているが、共著相手国としての存在感は低下傾向にある。ただし、東アジア・東南アジアの6か国・地域では依然として一定の存在感を保っている。中国は一帯一路参加国を中心に国際共著の存在感を拡大しており、米国では中国との共著比率が近年低下している。これにより、国際共著ネットワークの構造が変化しつつあることが示唆される。――日本の科学研究は、国際共著の増加という量的な成長を遂げつつも、共著相手国としての存在感が相対的に低下している。特に中国やグローバルサウス諸国の台頭により、国際共著ネットワークの構造が変化する中、日本が東アジア・東南アジアにおいて存在感を維持している点は注目に値する。文部科学省は、「今後は、質的な研究成果の創出とともに、国際的な連携の戦略的強化が求められる」としている。