生成AI時代に対応する高速半導体の公募指針とコア技術保護の要件
発表日:2025.09.03
経済産業省は、「情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号、最終改正:令和2年法律第58号)」に基づき、半導体の安定供給体制の構築を目的とした新たな公募制度を開始した。同日公布・施行された令和7年経済産業省告示第126号および第127号に基づく制度設計であり、生成AIの急速な普及に伴う計算需要の増加に対応する政策の一環である。
今回の告示では、経済産業大臣が指定する「高速情報処理用半導体」の生産を安定的に行うための取組(以下「特定取組」)を、最も適切に実施できる国内法人を選定するための公募指針が定められた。対象となる事業者は、国内に本店または主たる事務所を有し、財務・技術・ガバナンス・人材育成など15項目にわたる厳格な評価基準を満たす必要がある。――特定取組には、単なる試作に留まらず、顧客との継続的な取引を前提とした生産開始(2020年代後半を目標)や、技術開発計画の整備、競争優位性の確保、資金調達の妥当性、サイバーセキュリティ対策、コア技術の流出防止策などが含まれる。特にコア技術に関しては、従業員のアクセス制限、退職時の守秘義務誓約、取引先との秘密保持契約の締結など、具体的かつ実効性のある管理体制が求められる。また、国や自治体が推進するデジタル社会形成施策との連携、地域経済への波及効果、国内事業者のサプライチェーンへの参画なども重視される。公募期間は2025年9月3日から10月2日までの1か月間であり、選定された事業者には必要に応じて実施計画の修正が求められる。
経済産業省は、これらの制度設計を通じて、生成AI時代に対応した半導体供給体制の強化と、我が国の産業競争力の底上げを図るとしている。