タヌキの共同トイレ利用―都市では人間活動の時間変化に適応か
発表日:2026.01.09
東京農工大学と米イリノイ大学の国際共同研究チームは、都市緑地に生息するタヌキが人間活動の時間的変化に応じて「共同トイレ(ラトリン)」への訪問時間を調整していることを実証した(掲載誌:Ecology and Evolution)。
多くの哺乳類は、匂いによるマーキング行動を通じてテリトリーや生殖状態を伝え、社会性を維持している。タヌキも同様に、複数個体が排泄する共同トイレを利用し、排泄や匂い嗅ぎ行動によって個体間のコミュニケーションを行うことが知られている。しかし、こうした行動が都市環境において人間活動からどのような影響を受けるかは、これまで十分に検証されていなかった。
研究チームは東京西部の3調査地に自動撮影カメラを設置し、2018~2019年に延べ4,530日間の観察を実施した。8カ所の共同トイレで記録された訪問は合計3,259回であり、その93.8~99.3%が夜間に集中していた。訪問ピークは調査地やトイレの位置によって異なり、道路沿いでは交通量が減る深夜にピークが見られた。すなわち、都市に生息するタヌキは、人間活動が減少する時間帯を選び、リスクを低減しながら個体間のコミュニケーションを維持している可能性が示唆された。
本成果は、「都市における野生動物の社会性維持機構を理解するうえで重要な知見であり、今後は、食物や休息場所の確保に加え、共同トイレといったコミュニケーションの場を保全対象に含めることが、都市環境における野生動物の持続的な生息を支える鍵となるだろう」と研究者はコメントしている。
▲ページ先頭へ
新着情報メール配信サービス
RSS