フランスのロワイヤル環境大臣は、微量汚染物質から水質と生物多様性を守るための国の2016~2021年の計画を発表した。計画は主要な目標として、1)削減(水環境中に存在する微量汚染物質でリスクがわかっている物質の排出削減)、2)知識(水質・生物多様性保護のための知見の蓄積)、3)優先順位付け(対策が必要な汚染物質の特定)を挙げて具体的行動を示したもので、環境省(MEEM)が保健省や水・水生環境庁(ONEMA)等と協力して作成した。微量汚染物質は、多くは人間活動によって発生し、環境中で検出される濃度はきわめて低い(1リットル中マイクログラムまたはナノグラムのレベル)が、その毒性・難分解性・生物蓄積性により生物に悪影響を及ぼしうる。たとえば環境に放出された抗生物質は微量でも薬剤耐性のある細菌を育て、避妊薬は動物に内分泌かく乱物質として作用しうる。医薬品の販売認可申請には環境毒性の評価が義務化されているが、汚染物質の混合物の相乗作用や、環境中に存在する量での動植物への影響などわかっていないことも多く、比較的定量化されている曝露量も部分的なデータにとどまるという。