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 東大など、貝がらを用いた遡及的な沿岸環境調査の可能性を検証

発表日:2019.06.17


  東京大学大気海洋研究所を中心とする研究グループは、貝がらの採取・分析により、過去に生じた沿岸環境の変化を復元できることを確認した。二枚貝の貝がらには、生息地の環境に応じた化学組成の変化と、樹木の年輪のような縞模様(成長線)が刻まれていく。同研究グループは、東日本大震災の津波を生き延びたムール貝(ムラサキイガイ)の貝がらに着目し、津波発生から半年後の2011年9月に岩手県大槌町の岸壁から採取した貝がらの化学組成分析を行うとともに、成長線の観察も実施した。その結果、津波直後に貝がらのマンガン濃度が急上昇していることが分かった。また、マンガン濃度の詳細な変化パターンを調べた結果、津波による陸上の土砂流入や、海底堆積物の巻上がりによる海水の化学組成の変化が貝がらの化学組成に影響していることが示唆された。今回の貝がらを用いた環境調査手法は、津波の影響のみならず、モニタリングデータが存在しない大型台風や人為的な環境汚染などのさまざま環境変化の解明に活用できるという。

情報源 東京大学大気海洋研究所 プレスリリース
機関 東京大学大気海洋研究所
分野 水・土壌環境
キーワード モニタリング | 東京大学 | 岩手県 | 大気海洋研究所 | 二枚貝 | 津波 | 大槌町 | ムール貝 | マンガン濃度
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