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 北大など、東南アジアにおける海草藻場の最新の分布と保全状況を解明

発表日:2021.07.09


  北海道大学を中心とする研究グループは、東南アジアにおける熱帯性海草藻場の最新の分布情報を整備し、藻場保全の現状を評価した。近年、世界各地で海草藻場の減少傾向が報告されているが、既往調査や国際的なデータベース(GDS)には海草類の種多様性が高いアジア海域の最新データが反映されていなかった。同研究グループは、東南アジア10か国、中国本土南部、台湾および琉球諸島において2000年以降に記録された海草藻場の分布に関する情報(2,720件)を収集し、藻場の位置を地図化するとともに、海草の種構成や海草藻場面積の時間的変化に関する情報を集計・分析した。その結果、2000年以前の情報に基づくGDSと海草藻場の位置は大きく異なり、生態系の時間的な変化以外のデータ数・品質に依る調査上の課題が見えてきた。時間的変化のデータがある68地点で詳細な解析を行ったところ、海草藻場で面積の減少率は平均4.7%/年であることが分かった。また、保全策を厳密に実施している「海洋保護区」に含まれる海草藻場の割合は、総じて5%以下であることが判明した。生物多様性条約が設定した「生態学的・生物学的に重要な海域(EBSA)」に含まれる海草藻場の割合はそれよりも高いことから、EBSAを実効性のある海洋保護区として登録していくことが海草藻場の保全において有効であるという。

情報源 北海道大学 TOPICS
機関 北海道大学
分野 自然環境
キーワード 東南アジア | 生物多様性条約 | 海洋保護区 | EBSA | 種多様性 | 熱帯性海草藻場 | GDS | 種構成 | 海草藻場面積 | 生態学的・生物学的に重要な海域
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