コージェネレーション

 コージェネレーションとは、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジンや燃料電池を用いて、発電を行うとともに、その排熱を利用して蒸気を発生させる技術である。熱と電力を同時に得ることから、日本語では「熱電併給」とも呼ばれる。
 ガスタービン等の発電の熱損失を用いて蒸気を発生させるため、総合エネルギー効率は高くなり、60~90%以上となる。蒸気の使用先がコージェネレーション・システムの近傍であることが望ましいため、地域冷暖房や工業団地等で用いられることが多い。
 コージェネレーションは、気候が寒冷なヨーロッパでは早くから導入が進み、19世紀末から実施されている。日本では1986年頃からコージェネレーションの導入例が増加し、2008年3月末(見込み含む)の時点で、7,816件の施設で12,303台、合計9,228MWのコージェネレーション施設が稼働している(日本コージェネレーション・センター発表)。これは日本全国の電力用発電設備の約3%を占めている。
 コージェネレーションはCO2の排出削減に寄与することから、その普及促進に向けた取組が行われている。環境省「街区まるごとCO2 20%削減事業」の一環として、北九州八幡東田総合開発地区において行われている事業(図)では、天然ガスコージェネレーションを行い、蒸気を八幡製鉄所内で活用するとともに、電力を東田地区に供給している。この事業では、太陽光発電や省エネルギー設備の導入など、他の手段を組み合わせることで、街区全体のCO2排出量を30%削減することを目指している。

北九州八幡東田総合開発地区におけるコージェネレーション設備の概要

北九州八幡東田総合開発地区におけるコージェネレーション設備の概要
出典:中央環境審議会循環型社会計画部会(第38回)配付資料(作成:新日本製鐵(株))
http://www.env.go.jp/council/04recycle/y040-38/mat02-4.pdf

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1.背景

1)コージェネレーション導入の経緯

 コージェネレーションが世界で初めて導入されたのは1893年のドイツとされており、そこでは発電所から市庁舎に蒸気が供給された。このようにコージェネレーションがヨーロッパで早く導入されたのは、ヨーロッパの気候が寒冷で熱需要が多いためとされている。現在でもヨーロッパでの普及率は非常に高く、全電源に占めるコージェネレーションの割合は、例えばデンマークでは50%以上、そしてオランダ・フィンランドで20%以上というデータもある。
 日本においてコージェネレーションの導入が始まったのは、第二次オイルショック後に省エネ意識が高まってからであるが、とりわけ電気事業法の運用見直しにより、コージェネレーションで自家発電した電力を、電力事業者の電力系統に供給することが認められるようになった1980年代後半から普及が進み、最近では地球温暖化に対する有効な解決策の一つとして、採用件数が伸び続けている。

2)コージェネレーション・システムの特徴

 図1にコージェネレーション・システムの特長を示す。コージェネレーションは、電力と熱を同時に供給できることから、総合エネルギー効率が向上し、地球温暖化の原因となるCO2排出量の削減につながるとともに、エネルギーの有効利用による経済性向上のメリットがある。また、商用電力と併用することにより、万一の停電対策や夏場の電力不足の解消策としても有効である。
 なお、従来のコージェネレーションは熱しか供給できなかったが、吸収式冷凍機(動力源として、電気ではなく、ガスや蒸気の熱エネルギーを利用する冷凍機)を用いることにより、コージェネレーションでも冷房が可能となっている。

図1 コージェネレーションシステムの特長

図1 コージェネレーションシステムの特長
出典:(財)天然ガス導入促進センター エネルギー高度利用促進本部(旧:日本コージェネレーションセンター)
「コージェネレーションシステムって何?」
http://www.cgc-japan.com/japanese/cogene/index.php

3)エネルギーの分散供給

 コージェネレーションは、エネルギーの分散供給のための技術としても期待されている。
 我が国では、一次エネルギーの大部分を化石燃料に頼っており、しかも、それらの多くは輸入である。そのため、原油価格が高騰すると、人々の生活に多大なる影響を及ぼす。そこで、化石燃料への依存度を下げ、地域ごとの特性を活かしたエネルギーの分散供給を進めるため、種々の施策が検討・実施されており、安定したエネルギー供給の実現を目指している。
 分散型エネルギー導入の中核として、燃料電池が位置づけられている。その中には燃料電池を用いたコージェネレーションも含まれており、水素の原料を再生可能なエネルギーから製造することで、二酸化炭素を実質的に排出しないシステムとすることができる。地域によって、太陽光発電や風量発電を用いて水素を製造することや、バイオマスを転換して水素を製造することで、地域資源を循環的に利用するとともに、新たな産業を創出することも期待できる。

4)日本での導入状況と今後の普及拡大の動き

 上述したコージェネレーションの特長を反映して、日本のコージェネレーション設備は着実に増加している(図2)。日本コージェネレーションセンターの発表によると、2008年3月末(見込み含む)の時点で、7,816件の施設で12,303台、合計9,228MWのコージェネレーション施設が稼働している。これは日本全国の電力用発電設備の約3%を占めている。しかし、この割合は、ヨーロッパでの普及率(デンマーク:50%以上、オランダ・フィンランド:20%以上)と比較して、大きな隔たりがある。
 この原因の一つに、ヨーロッパとの気候の違いが挙げられる。日本は気候が変化に富んでいるため、季節ごとに冷暖房の需要が大きく異なり、使用しない期間も長い。そのため日本では、主要な発電方式である火力発電において、排熱を冷暖房や給湯用に利用するコージェネレーションよりも、排熱で水から水蒸気をつくり、蒸気タービンを回して発電を行う「コンバインドサイクル発電」が適用される傾向にある。
 また、社会制度や法整備などの違いも挙げられる。家庭で発電した電力を、ヨーロッパでは一般的に、全て外部に販売し、自家消費する電力は全て外部から購入する契約となっている。売電価格は、買電価格より高く(国や地域によって異なる)に設定されているので、普及の後押しとなっている。一方、日本では全て自家消費し、余剰電力のみを外部販売する方式を取っている。このときの売電価格は地域によって異なるが、一般消費者に対する電力の販売価格と同程度かそれ以下という価格設定であったため、これまでは普及の強いインセンティブにはなってこなかった。
 平成21年3月に経済産業省、環境省など関連府省は「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」(進捗状況フォローアップと今後の取組)を発表した。この中では、太陽光発電の普及拡大を進めるため、家庭で発電した余剰電力を現在の2倍額程度で電力会社に買い取らせる制度を創設することが盛り込まれたほか、太陽光発電だけでなく、蓄電池、燃料電池等の個別の機器・技術を組み合わせて導入する「未来型エネルギー社会システム」の形成に向けた取組を開始することが明記された、このような動きは、家庭用のコージェネレーションシステムにも導入促進要因になると考えられる。

図2 我が国におけるコージェネレーション設備の発電容量および設置件数

図2 我が国におけるコージェネレーション設備の発電容量および設置件数
出典:(財)天然ガス導入促進センター エネルギー高度利用促進本部(旧:日本コージェネレーションセンター)
「コージェネレーションシステム導入のメリット」
http://www.cgc-japan.com/japanese/cogene/index2.php

2.技術の概要

1)コージェネレーションの概要

 従来の発電システムでは、発電効率は40%程度で、投入したエネルギーの約60%は、温排水もしくは排ガスから外界に熱エネルギーとして捨てられていた。
 一方、コージェネレーション・システムは、発電にともなって発生する排熱を有効に利用するため、総合エネルギー効率は60~90%程度まで向上する(図3)。
 図4は実際の導入例として、愛知県名古屋駅南地区に導入されたガスコージェネレーションの例である。

図3 コージェネレーション・システムの概要

図3 コージェネレーション・システムの概要

図4 コージェレーションの導入事例(名古屋駅南地区)

図4 コージェレーションの導入事例(JR東海名古屋駅地区)
出典:中部エネルギーパーク「名古屋熱供給(株)JR東海名古屋駅周辺地区熱供給施設」
http://www.chubu.meti.go.jp/enepark/kengaku/info/20_1.html

2)コージェネレーションの種類

 コージェネレーションに使用される動力源には、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、及び燃料電池がある。以下にその概要を説明する。

(1)ガスタービン
 ガスタービンを用いるコージェネレーション・システムでは、都市ガス・LPG・重油・軽油・灯油を燃料とし、ガスタービンによる発電を行う。ガスタービンは空気圧縮機動力としても活用する。熱回収はガスタービン出口の排熱ボイラーにて行う。規模は大型であり、1,000kW~100,000kW程度まで適用可能である。大出力かつ高い蒸気条件の蒸気を発生することが可能であるため、工場動力・地域冷暖房等に用いられる場合が多い。

(2)ガスエンジン
 ガスエンジンを用いるコージェネレーション・システムでは、都市ガス・LPGを燃料とし、ガスエンジンによる発電を行う。また、エンジン本体部の冷却壁の冷却水熱と、排ガス回収熱を回収し、小型のエンジンについては温水を、中大型のエンジンについては温水と蒸気を発生させる。排ガスがクリーンかつ高温であるため、熱回収効率が高いという特徴を持つ。

(3)ディーゼルエンジン
 ディーゼルエンジンを用いるコージェネレーション・システムでは、重油・軽油・灯油を燃料とし、ディーゼルエンジンによる発電を行う。また、その排熱を回収して温水や蒸気を発生させる。電力需要が中心となる大型の施設での導入例が多い。

(4)燃料電池
 燃料電池を用いるコージェネレーションシステムでは、燃料電池で発電を行い、その排熱を回収して温水や蒸気を発生させる。燃料電池にはいくつかの種類があるが、現在主流となっている方式では水素と酸素から水が生じる反応を利用して発電を行う。そこで、都市ガスから水素を製造して燃料電池による発電を行い、燃料電池の排熱から温水を製造して床暖房、風呂の給湯等を行うシステムなどが研究されている。

 なお、これまでに導入されたコージェネレーションシステムは、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジンが中心で、燃料電池を用いるシステムは研究開発段階である。民生用については、件数ベースでは、ガスエンジンが最も多く、全体の75%程度を占め、次いでディーゼルエンジン、ガスタービンの順になっている。産業用では、件数ベースで見ると、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、ガスタービンの順であるが、熱需要の多い大型施設用のガスタービンの導入例が多いため、発電容量ではガスタービンが約50%となっている。

3)各コージェネレーション設備の適用範囲

 図5は、コージェネレーションシステムのうち、主に導入が進んでいる原動機(ガスエンジン・タービンやディーゼルエンジン)を利用した発電・排熱利用システムについて、発電出力(kW)と発電効率(%)の関係を示している。
 電力需要(発電出力)と蒸気需要の大きなプラントで用いられる動力源はガスタービンがほとんどである。一方、電力需要が中小規模で、熱需要が温水である場合の動力源は、ガスエンジンまたはディーゼルエンジンが中心である。ガスエンジンには、発電出力が5~25kW程度の小型のガスエンジンと数十~1,000kW程度の中~大型の2種類がある。ディーゼルエンジンは、発電出力80~15,000kW程度まで、施設の規模に応じて小型から大型の設備が用いられる。発電出力が数~数十KW程度のコージェネレーションシステムはμ(マイクロ)コージェネレーションと呼ばれ、小規模の店舗や家庭への導入が期待されている。
 これらの動力源の単体の発電効率は、高々45%程度であるが、熱利用を行うことで、総合効率を80%以上にまで高めることができる。

図5 発電出力と適正なコージェネレーション用原動機との関係

図5 発電出力と適正なコージェネレーション用原動機との関係
出典:(財)天然ガス導入促進センター エネルギー高度利用促進本部(旧:日本コージェネレーションセンター)
「コージェネレーションシステム導入のメリット」
http://www.cgc-japan.com/japanese/cogene/index2.php

 また、図6は、ガスコージェネレーションの主な需要先とシステムの規模との関係を示したものである。
 発電容量が1,000~10,000KW以上の産業用大型施設には、金属、機械、繊維、食品等の各種工場や地域冷暖房がある。電力需要が中心の金属・機械工場では、発電効率の高いガスエンジン、ディーゼルエンジンを用いたシステムが適し、熱需要が中心の地域冷暖房では、ガスタービンを用いるシステムが適している。発電容量が100~1,000KW規模の業務用システムでは、病院、ホテル、事務所・店舗などが対象になり、各施設の電力需要と熱需要のバランスを勘案して、それぞれに適したシステムが選択される。マイクロコージェネレーションが用いられる発電容量数~100KWの施設には、一般の住居のほか、コンビニエンスストア、レストラン、浴場などがある。

図6 ガスコージェネレーションの規模と主な需要先の関係

図6 ガスコージェネレーションの規模と主な需要先の関係
出典:(社)日本ガス協会「ガスコージェネレーションの種類」
http://www.gas.or.jp/cogene/contents/01_04_01.html

3.技術を取り巻く動向

1)環境省の取り組み

 コージェネレーションは地球温暖化対策の有効な解決策として、その導入が進められている。
 環境省では、業務部門における温暖化対策の促進を目的とした「地方公共団体対策技術率先導入補助事業」を実施しており、2009年度には9億円の予算を計上している。この事業の中で、燃料電池コージェネレーションは温暖化対策技術の1つとして、太陽光発電などとともに、導入に対する補助対象となっている。
これ以外にも、環境省では、コージェネレーションに関する様々な取組を行っている。その事例を以下に示す。

(1)事例1:環境省の「自主参加型国内排出取引制度」を活用した(株)日本キャンパック赤城工場での温暖化ガス削減事業
 飲料の受託製造を行う(株)日本キャンパックの赤城工場(群馬県前橋市)では、環境省の「自主参加型国内排出取引制度」を活用したCO2削減事業としてガスコージェネレーション設備を導入した(図7)。この事業では、同社とESCO事業者(Energy Service Company の略で、企業等に省エネルギーサービスを提供し、削減したコストから代価を受け取る事業者)である日立製作所が共同で、ガスエンジンによるコージェネレーション設備の導入を行い、排熱の有効利用と総合エネルギー効率の向上を実現した。また、ボイラの燃料転換(A重油から天然ガスへ)やターボ冷凍機の導入を行った。
 これらの取組により、2006年度には7,456トンのCO2削減を達成した(図7)。

図7 ガスコージェネレーション設備のフロー(日本キャンパック赤城工場)

図7 ガスコージェネレーション設備のフロー(日本キャンパック赤城工場)
出典:シンポジウム「始動する日本の排出量取引-自主参加型国内排出量取引制度の経験と今後の展望」発表資料(作成:(株)日立製作所)
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/sympo080117/presentations/03_bannai.pdf

(2)事例2: 環境省「街区まるごとCO2 20%削減事業」を活用した、(株)新日鉄都市開発 “環境共生住宅 リビオ東田ヴィルコートI 街区”
 この事業では、環境省「街区まるごとCO2 20%削減事業」の一環として、北九州八幡東田総合開発地区において天然ガスコージェネレーションを行い、蒸気を八幡製鉄所内で活用するとともに、電力を東田地区に供給している(図8)。この事業は、環境共生住宅を基本コンセプトとしており、コージェネレーション以外にも、分譲マンション最大規模の太陽光発電の採用、複層ガラス等の断熱資材、省エネルギー設備等の導入により、街区単位でCO2を30%程度削減(対次世代省エネルギー基準)することを目指している。また、事業者による独自の取組として、九州地区では分譲マンション初となるカーシェアリング(自動車+自転車)を採用している。

図8 北九州八幡東田総合開発地区におけるコージェネレーション設備の概要

図8 北九州八幡東田総合開発地区におけるコージェネレーション設備の概要
出典:中央環境審議会循環型社会計画部会(第38回)配付資料(作成:新日本製鐵(株))
http://www.env.go.jp/council/04recycle/y040-38/mat02-4.pdf

2)その他の事例:バイオガスを利用したマイクロコージェネレーション

 上記の事例のほか、CO2削減等に効果の高い「バイオガス」マイクロコージェネレーションの開発も行われている。バイオガスマイクロコージェネレーションは、廃棄物系や未利用のバイオガスをコージェネレーションに利用するシステムで、二酸化炭素の削減や未利用エネルギーの有効活用に大きく寄与できる。

図9 バイオガスマイクロコージェネレーションのシステム概要

図9 バイオガスマイクロコージェネレーションのシステム概要
出典:ヤンマーエネルギーシステム(株)プレスリリース(平成19年12月19日)
http://www.yanmar.co.jp/aboutus/whats-new/news-release/071219/conts01.html

引用・参考資料など

(2009年6月現在)