イギリス気象庁の科学者ら、大気汚染は河川の流量を増加させるという研究結果を発表
発表日:2014.10.06
エアロゾル(大気汚染物質)が北半球の河川の水流量に顕著に影響しているとする研究結果を、イギリス気象庁や生態・水文学センター等の科学者らが「ネイチャー・ジオサイエンス」誌に発表した。北半球中緯度の高度工業化地域、特に中欧の最も大気汚染の進んだ河川流域では、エアロゾル濃度がピークに達した1980年頃に流量は最大25%まで増加したと研究者らは推定している。1970年代後半まで増加し続けた硫黄含有量の多い石炭の燃焼が、大気中のエアロゾルを増加させたとする説は既に確立しており、エアロゾルが光を反射するため、地表に届く太陽光を減少させる「太陽光遮蔽」が起きるとされている。今回の研究では、太陽光遮蔽による日射量の減少が地表面からの蒸発速度に影響を及ぼし、河川流量を増加させることが判明した。欧州や北アメリカで大気汚染防止法等が導入され、太陽光遮蔽が減少に転じると、流量の減少が観測されたという。研究者らは、エアロゾルと河川流量変化との関連性を、今後の気候変動評価に活かすことが重要であるとしている。
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