サイガ・アンテロープ生息国、大量死で激減した個体数回復への具体策に合意
発表日:2015.11.02
ボン条約(CMS)の「サイガ・アンテロープの保護、回復、持続可能な利用に関する覚書」の第3回加盟国会議がウズベキスタンのタシケントで開かれ、近絶滅種であるサイガの生息国(カザフスタン、モンゴル、ロシア、トルクメニスタン、ウズベキスタン)の個体数回復に向けた具体策を採択した。最新の調査結果によると、2015年5月に中央カザフスタンで15万頭を超えるサイガの成獣が大量死し、全世界の個体数が半減。またカザフスタンとウズベキスタンの国境付近の個体群は、特に国境フェンスや鉄道が移動の妨げとなり絶滅寸前だという。大量死の原因については、2種の日和見感染細菌による敗血症が直接の原因だが、その背景には天候の急激な変化など環境要因が寄与したと考えられ、気候変動との関連性も否定できないとしている。今回の会議では、生息国と消費国が2020年までに実施する具体策(移動の妨げとなるインフラ等の変更、密猟対策、野生動物の健康管理強化など)や、覚書の効果的な進捗評価に向けた国別報告プロセスの改善等に合意した。