国際エネルギー機関、CO2回収貯留技術の導入を加速する必要があると指摘
発表日:2017.03.30
国際エネルギー機関(IEA)は、CO2回収・貯留(CCS)技術は今後数十年間にエネルギーおよび産業からの排出ガス削減で重要な役割を果たすものであり、導入を加速しなければならないと指摘した。CCSは大気中のCO2削減を実現し、地球規模の排出削減目標を達成するために必要な技術だが、導入の進捗状況は芳しくないという。IEAは、世界の気温上昇を2℃未満に抑えるためには2025年までに毎年約5.4億トンのCO2を回収する必要があるとみているが、現状の回収量はこれを大きく下回っている。採算性とエネルギー安全保障の両面でCCS技術の魅力を増す方法のひとつに、回収したCO2を油層に圧入して原油の回収率を高める原油増進回収(EOR)がある。回収したCO2を利用するEORプロジェクトは北米や中東ですでに実施されており、採算がとれているものもある。中国でも初の大型CCSプロジェクトが進行している。EORのやり方に改良を加えれば、原油増産による排出量以上のCO2削減が行えるので、今後、収益性やコスト、技術改良、CO2輸送網といった課題を乗り越えられれば有効な低炭素技術になるという。