中国科学院、チベット高原における多環芳香族炭化水素の発生源と分布を解明
発表日:2020.04.16
中国科学院(CAS)は国内外の研究機関と共同で、2014年と2016年の6地点のエアロゾルデータを組み合わせて、チベット高原における多環芳香族炭化水素(PAHs)の発生源と時空間分布を調査した。PAHsは、その多くが人間活動に起因する残留性有機汚染物質(POPs)であり、複数の疾患に関連して人の健康を深刻に脅かしていることが明らかになっている。調査の結果、3環式PAHsは微粒子状から蒸気状に変化が可能で、チベット高原上で支配的(44%~58%)なPAHsとなっており、大気中の汚染物質の長距離輸送がPAHsの主要供給源であることが明らかになった。主成分分析(PCA)等のさらなる分析により、チベット高原内陸部ではバイオマスと石炭の燃焼が主なPAHsの発生源であることが示されたが、チベット高原周辺部では化石燃料の排出がPAHsの発生に影響を与えていた。同研究は、有機エアロゾル汚染の特徴とチベット高原の広い領域にわたるその分布を体系的に把握し、人と生態系に対する汚染の影響を評価するもので、「Environmental Pollution」誌で発表された。
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