世界遺産ワッデン海で外来侵入種が拡大
発表日:2010.08.27
世界遺産のワッデン海における外来侵入種拡大を警告する報告書が、「第5回ワッデン海デー」会議で発表された。ワッデン海は、デンマーク、ドイツ、オランダにかけての海域で、海岸500kmにわたって干潟、塩性湿地、河口など、ヨーロッパでも数少ない多様な潮間帯生態系が残る。問題の外来種は、イネ科の雑草スパルティナ、牡蠣の1種マガキ、ツノクラゲの1種ムネミオプシス・レイディ。スパルティナは、護岸などを目的に1990年代に導入されたのち広がり、堆積物の蓄積を助長して潮間帯を減少させている。マガキも1990年代に養殖のため導入されたが、在来種のムラサキイガイ(ムール貝)を駆逐する勢いで増殖し、ムール貝を捕食する鳥類の減少も懸念される。ムネミオプシス・レイディは船舶のバラスト水から侵入したとみられ、プランクトン、魚類の卵、幼生などを捕食し食物連鎖に影響を与えることから、カタクチイワシの減少が懸念される。2010年3月、沿岸3国の閣僚会議は、次回会議(2013年)に向け外来種対策の策定を決めており、今回の会議はその実現への第一歩とされる。
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