アメリカの研究チーム、健康影響が懸念されるイソシアン酸の大気中濃度を測定
発表日:2011.05.16
アメリカ海洋大気庁を中心とする研究チームは、森林火災や薪炭の燃焼などで発生する煙に含まれ、健康影響が懸念されるイソシアン酸(HNCO)の濃度と水溶性の測定に初めて成功した。イソシアン酸は、肺や目から人体に入り、組織の炎症や白内障を起こすとされる。研究チームは今回、特別に設計した質量分析計を使用し、屋外大気(ロサンゼルス市街地、コロラド州ボルダー(山火事の風下))や、燃焼実験下の屋内大気などについて分析を行った。その結果、燃焼実験下ではイソシアン酸の濃度が600ppbv(ppbv:体積濃度で10億分の1)に達したが、屋外試料では、この数千分の1であった。研究チームでは、イソシアン酸の濃度が約1ppbv以上だと健康影響が懸念され、屋内で薪炭などを燃やすと高濃度になる可能性があると指摘。また今後、気候変動による気温上昇と乾燥化が進むと山火事などが頻発し、大気中のイソシアン酸が増加する可能性もあるという。さらに、イソシアン酸は、ディーゼル車のNOx排出削減装置からも副産物として発生するため、こうした他の発生源にも注意が必要であるとしている。
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