気候変動による有害藻類・微生物の増加で30年以内に健康被害が起こりうるとアメリカ研究者らが予測
発表日:2011.02.19
アメリカ海洋大気庁(NOAA)などの研究者の予測によると、気候変動により有害藻類・微生物が増加し、30年以内に健康被害が顕著になる可能性がある。アメリカ科学振興協会(AAAS)2011年年次大会のパネル討論で発表されたもので、海面の温度上昇や、海中に溶けた砂漠起源の塵埃中の鉄分が、有害藻類や細菌の生育を助長することが原因だという。アメリカ、ワシントン州ピュージェット湾の調査によると、赤潮の発生期間は今後30年以内か、早ければ10年以内にも長期化し、21世紀末には有害藻類の発生が現在より2ヶ月早まり、終息は1ヶ月遅くなると予測されている。また、こうした有害藻類に含まれる毒性物質が貝類にも蓄積され、それを消費する人間の健康被害の増加と貝類養殖産業への打撃が懸念されるという。同パネル討論では、気候変動による集中豪雨で下水があふれ出し、飲料水や海岸が病原微生物で汚染される可能性も指摘された。この報告は、気候変動がアメリカの海洋、沿岸部、五大湖地域の生態系へ及ぼす影響と、それにより増大する人間の健康リスクとの関係を明らかにした新たな研究の結果である。