欧州委員会は、人や経済、環境のニーズを満たす良質な水を十分に確保するための新戦略を公表した。EUは水枠組み指令（WFD）の下、2015年までに、河川や地下帯水層など全水域の水を良好な状態にすることを目指している。しかし、現状では水の質・量ともに懸念される状態にあり、新旧の課題（水質汚濁、農業・発電用水の汲み上げ、土地利用など）の解決に向けて対策を強化する必要があるという。WFD目標の達成のため、新戦略では、1）現行法で提供されている機会を活用した、現行の水政策の実施（湿地・氾濫原の再生等による自然の保水機能回復など）、2）関連する政策分野（農漁業、再生可能エネルギーなど）への水政策目標の統合、3）現行の枠組み（特に水効率改善の手法）の補完、の3段階アプローチを示している。同戦略では、全域にあてはまる万能策ではなく、国・地域・流域レベルでの水管理向上に利用可能な多彩なツールを提案しており、また水保全は環境保全や健康、福祉のみならず、経済成長・繁栄にも関わることを強調しているという。