宇宙航空研究開発機構（JAXA）は、国立環境研究所、京都大学生存圏研究所との共同研究チームが、日食を利用して太陽光が大気中のオゾンへ与える影響を調査したと発表した。大気中のオゾン量はさまざまな要因で決まっているが、これまでの観測では、精度が悪く、太陽の明るさが変わることで、オゾン量がどのように変化するのかについての考察ができなかった。今回、国際宇宙ステーション（ISS）に搭載された超伝導サブミリ波リム放射サウンダ（SMILES）の高精度な観測データを用いて、2010年1月15日に起こった日食時のオゾン量の変化を調査。月の影で暗くなっている地域では、明るい地域に比べて、中間圏のオゾン量が多くなっていることがわかった。また、その変化の様子は地表からの高度によって異なっていることもわかった。研究チームでは、オゾン量を決める他の要因についても調査を進めており、大気中のオゾン生成と破壊のメカニズムの解明が進み、減少した大気中のオゾン量の回復時期について、正確な予測ができるようになると期待されるという。