東北大など、高温ストレスを受けた刺胞動物の遺伝子発現パターンを解析
発表日:2019.06.04
東北大学と基礎生物学研究所は、高温ストレスを受けた刺胞動物の遺伝子発現パターンの変動を網羅的に調べ、海水温の上昇によるサンゴ白化現象の理解につながる知見を得たと発表した。サンゴの体内には褐虫藻が共生しており、褐虫藻はサンゴが供給する栄養分を利用して光合成などの生命活動を行い、サンゴは褐虫藻の生産物を栄養源としている。近年、こうした「共生」が崩壊し、サンゴ礁が死滅してしまう白化現象の進行が問題視されている。地球温暖化に伴う海水温の上昇が要因のひとつと見られているが、共生が維持される仕組みの詳細は未解明であった。同大学の研究者らは、実験室での飼育や共生/非共生状態の誘導が容易なモデル刺胞動物「セイタカイソギンチャク」を用いて、高温ストレスに対する遺伝子発現量の変化を比較解析した。その結果、白化過程で特徴的な変動を示す292の遺伝子の同定に成功し、物質の分解・消化機能を有するリソソームにおいて糖の代謝に関わると考えられる遺伝子発現量の変動が確認できたという。
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