北大など、海鳥の個体数変化から保全の在り方を考える新たな知見を発表
発表日:2019.09.05
北海道大学などの研究グループは、日本で繁殖する海鳥10種類の過去36年間の個体数変化を解析し、ウミネコなど広域分布種の保全の必要性を示した。世界における海鳥の個体数は長期的に減少し続けており、日本で繁殖する海鳥40種類のうち22種類が絶滅危惧種に選定されているが、個体数の長期的変化について詳しくわかっていなかった。同研究グループは、全国の繁殖地でのデータが蓄積されていた10種類を対象に、過去36年間の日本海鳥コロニーデータベース(1980-2015年)に、生物の個体数変化を記述する統計モデル(状態空間モデル)を適用した。その結果、対象種の長期個体数変化が明らかとなり、中でも1)絶滅危惧種のウミガラスは97%、エトピリカは87%減少していた。また、2)広域分布種のウミネコは72%、オオセグロカモメも65%減少したと推定された。一般的に、分布域が広く個体数が多い種類ほど、生態系の機能や安定性に与える影響が大きいと考えられており、今回の研究から、絶滅危惧種だけでなく、広域分布種の保全の在り方を議論する必要性が示されたという。
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