理化学研究所(理研)、福島大学ほか3大学およびベジタリア(株)の共同研究グループは、農業生態系における植物-微生物-土壌の関係を可視化した。農業活動の空間的および機能的な基本単位として定義される農業生態系では、植物と微生物と土壌が複雑に関係しているが、既往の研究においては農業環境の実態を部分的にしか解明できていなかった。近年、解析対象を網羅的に検出・解析する手法として「オミクス解析」技術が進展しており、同研究グループは、個別のオミクス解析を統合した解析手法(マルチオミクス解析)を農業生態系へ適応させた。優れた生産技術を持つ篤農家(千葉県八街市)の有機農法の解析において、化学肥料に頼らない有機態窒素の活用は、持続可能な作物生産を可能とすることが示唆された。今回の研究手法は、匠の技として伝承されていた作物の生産技術などを、植物-微生物-土壌の関係から可視化する新しい手法であり、今後の農学分野における解析アプローチの主流となるという。