東レ(株)は、スペインの食品軟包装印刷会社SP Group社と、揮発性有機化合物(VOC)を排出せず、水の使用もないオフセット印刷技術の実証に成功した。軟包装用印刷には、アジアを中心にグラビア(凸版)印刷方式が採用されているが、有機溶剤を含むペンキを大量に使うことから、PM2.5による大気汚染・VOC排出が課題と考えられていた。同社は、1979年に、印刷時に水を用いないことや、製版時にアルカリ現像廃液を出さない等の特長を有す環境配慮製品(水なし平版)を販売しており、この製品は、世界52か国(1,500社以上)の印刷会社で使用されている。今回、SP Group社の協力を得て開発した水溶性EB(電子線)インキを、「水なし印刷」に適用し、EB硬化プロセスを組み合わせることでVOC排出なし・水使用なしのEBオフセット印刷技術を実現した。インキ溶剤乾燥、有機溶剤によるインキ洗浄が不要となり、全印刷工程において100％VOCフリーを達成すると共に、各国の食品包装規制にも準拠しているという。