国立極地研究所などの研究チームは、南極半島沖合の海底からゴカイの仲間(多毛類)の新種を発見した。多毛類は、海底に生息し、これまでに1万種以上が確認されているが、深海の海底に棲む種についてはまだ分かっていないことが多く、更なる研究が求められていた。国立極地研究所の研究員らは、南極海の生物多様性を調査するために2019年12月から翌月にかけて、海底堆積物の調査を行った(調査船：白鳳丸)。その中で、南極半島の北東にあるサウスオークニー諸島の近海(水深：2,036～2,479m)で採取した海底堆積物からいくつかの生物が採取された。採取した生物をエタノールで固定し、顕微鏡などを使って詳しく調べたところ、クマノアツシキ科 Flabelligena属の新種が含まれていることが分かり、調査船の名前に因み「Flabelligena hakuhoae」と名付けた。Flabelligena属が南極海で見つかったのは初めてで、南極海の生物多様性を理解するうえでの一歩であるという。