県立岐阜高校など、アユの感染症罹患メカニズムに接近
発表日:2021.04.13
岐阜県立岐阜高等学校の高校生10名と自然科学部生物班の顧問教諭、神戸大学の研究者らからなるグループは、共同執筆した論文「(邦題仮訳)環境DNA分析によって明らかになった冷水病菌とアユの河川内における時空間的な分布」の主要成果を紹介した。「冷水病」は低水温期に発生するサケ・マス等の感染症で致死性が高く、本邦では放流されたアユや養殖アユの罹患事例が報告されている。病原体であるF. psychrophilumは全国的に拡大しつつあるが、その動態は十分に理解されていなかった。同グループはアユが水産資源のみならず地域資源として重要であるとの思いから、長良川・揖斐川で河川水を毎月採取し、環境DNA抽出・分析を行い、病原体とアユの「周年ダイナミクス」解明に接近した(調査期間:2017年7月~2018年6月)。その結果、病原体の環境DNA濃度は秋から春にかけて高くなり、水温変動と負の相関関係にあることが明らかになった。アユの生活史に照らすと、春の遡上期や秋の産卵期に病原体に曝されていることが分かり、秋の流下・産卵期に起こり得る成魚から稚魚への垂直感染や、他の生物がキャリアとなっている可能性も示唆されたという。
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