北大と九大など、アラビア海「湧昇流」の弱化傾向を解明
発表日:2021.05.26
北海道大学、九州大学、NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所、総合地球環境学研究所ほか海外2大学からなる研究グループは、アラビア海の「湧昇流」が弱まっていると発表した。「アラビア海(インド洋北西部)」は、地球規模の海水大循環(熱・栄養塩配分)において、大西洋の高緯度海域で生まれた冷たく塩分の濃い海水が、沈み込み、表層に湧き上がる海域と接している。同研究グループは、アラビア海周辺で採取した造礁性サンゴ群(化石)から古気候記録の復元する手法を用いて、同海域の湧昇流に対する温暖化の影響解明に接近した。詳細な測定・分析を行った結果、化石の生息年代は西暦1167〜1967年と同定され、湧昇流が発生する季節に塩分の低下が記録されていることが確認された。また、化石と現生サンゴの「塩分の低下幅」を比較検証したところ、過去1,000年間に比べ、近年の低下幅が小さい(湧昇流が弱い)ことが分かった。湧昇流の弱化傾向は、インド洋の急激な温暖化とインド亜大陸の緩やかな温暖化に起因すると見ている。
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