北大、アズマヒキガエルの道内排除に資する技術を開発
発表日:2021.12.17
北海道大学の研究者らは、環境DNA解析を用いて「アズマヒキガエル」の繁殖地を効率的に検出できることを実証した。「アズマヒキガエル」は、東日本から道内に持ち込まれた「国内由来の外来種」とされている。高い毒性を有する陸棲のカエルであることから、その卵やオタマジャクシを摂食した北海道在来のカエルやサンショウウオが致死する事例が報告されており、以前から石狩川流域の旭川市周辺では駆除が行われてきた。しかし、同種は夜行性で森に身を隠していることが多く、駆除には多大な労力を要し、一方で石狩川下流部に位置する石狩市・札幌市に分布域を拡大しつつあることが懸念されている。同大学では世界初となるヒキガエル属の特異的DNA配列検出法を開発し、アズマヒキガエルの幼生が四肢を発達させ、繁殖池を離れる前(6月)に「接続河川下流部の『集水域』」で採水調査による検証を行った。今回、この調査手法を石狩川水系の広域調査に適用したところ、石狩川本川を含む12河川・32地点の採水サンプルからアズマヒキガエルのDNAが検出され、同種の分布域拡大が裏付けられた。また、32点のうち21地点は、近傍500m以内における幼生の捕獲事例や目視情報がない地点であることが明らかになった。捕獲や目視に頼らない駆除への貢献はもとより、地域住民も活用できる簡便かつ効率的な環境調査技術としての展開も期待できるという。