ゼロカーボンタンパク質繊維「Air Silk」一貫生産プロセスを創出 京大・理研など
発表日:2022.05.26
京都大学大学院工学研究科の沼田教授(理化学研究所チームリーダーを兼任)が率いるプロジェクトチームは、海洋性紅色光合成細菌に由来するクモ糸シルクタンパク質を紡糸・繊維化する技術を確立した。今回の成果は、「共創の場形成支援プログラム(JST)」と「研究開発型スタートアップ支援事業助成(NEDO)」の支援を受け、山形県鶴岡市に本社を置くバイオベンチャー・Spiber株式会社、沼田教授がCTOを務めるSymbiobe株式会社(本社:京都市西京区京大桂ベンチャープラザ内)と協同して得られたもの。同大学は、海洋性の紅色光合成細菌にジョロウグモの牽引糸タンパク質をコードする遺伝子を導入し、細胞内で発現させ、クモ糸様ファイバー構造を再現することに成功している(Numata, K. et al., 2020)。大気中のCO2や窒素を固定した微生物を用いて、環境に優しいタンパク質繊維を生産する技術的な基盤が整ったと言える。今回、紅色光合成細菌を効率良く培養する方法を確立し、細菌から抽出・精製したタンパク質を部分的に利用することで、延伸・繊維化プロセスの改良が図られた。化学繊維に代わる「サステナブルな繊維」の新たな選択肢として、次世代繊維産業(ゼロカーボンものづくり)の創出に資するという。海洋性紅色光合成細菌の培養方法等をスケールアップし、第一次産業関連のプロジェクト成果を結集することで、京都ならではの「ゼロカーボンバイオ産業創出による資源循環共創拠点」形成が期待できる、と抱負を述べている。
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