国際貢献の切り札となるか?日清紡の海洋生分解性プラスチック
発表日:2023.09.26
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は『イオン結合を有する海洋生分解性プラスチック素材(以下「開発材」)』の実用化に目途が立ったと発表した。NEDOは「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」の一環として、日清紡ホールディングス(株)と共に海洋生分解性プラスチックの新技術・新素材開発に取り組んでいる(事業期間:2020~2024年度)。日清紡ホールディングス(株)は2021年に海藻由来のアルギン酸を利用した海洋生分解性素材を開発しており、石化由来プラスチック代替製品としての用途展開を進めている。本開発材は、プラスチックに混ぜることで生分解性を付与する「樹脂添加剤」に相当するもの。プラスチック素材を構成する炭素分子の骨格(主鎖)にイオン結合を導入することで、結合部分が海水中のNaイオンと置き換わり、低分子化する。海水中に豊富に存在するナトリウム(Na)イオンを生分解のトリガーとして活用する仕組みを具現化したものであり、幅広い環境下で生分解性の発現を促進できることが確認されている。日本政府は国際社会に対して「2040年までに海洋プラスチックによる追加的な汚染をゼロにする」という野心的な目標を盛り込んだステートメントを発している(2023年5月29日、於:パリ)。今後、開発材の早期製品化を目指し、プラスチック・素材・成形メーカーとのマッチングや量産体制の構築を進めるという。本邦の先導的技術として紹介される機会の到来が現実味を帯びてきた。
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