「イトウ」の生息地が危機!NACS-J、悪影響ある風力発電計画に警鐘
発表日:2023.12.27
(公財)日本自然保護協会(東京都中央区、略称:NACS-J)は、増加する自然への悪影響が明白な風力発電計画に警鐘を鳴らした。北海道の宗谷地域では、現在稼働中の風車は163基、建設工事中が79基、環境アセスメントの手続き中が454基にもなり過密状態であると指摘する。事業の適地が無くなるにつれて、原生的な森林を対象とした計画が増えているという。2023年9月にはジャパン・リニューアブル・エナジー社(JRE社)による「(仮称)宗谷丘陵南風力発電事業」の計画が明らかになった。計画地はエゾマツやトドマツなどの原生的な森林が広がる国有林で、幻の魚とされる絶滅危惧種のイトウの国内最大の産卵地となっている。イトウは母川回帰性が強く、毎年同じ支流のほぼ同じ区間に産卵するため、森林伐採や河川の改変が前提の同計画が実行されれば、イトウの生息に大きな影響が及ぶことは必至とのこと。NACS-JはJRE社に計画の中止を求める意見書を提出し、さらに、同地域でイトウの研究をしている国立環境研究所研究員や日本生態学会北海道地区会からも中止を求める意見書が公表された。昨今、明らかに自然環境への影響が大きな計画が急増していると指摘し、再エネ推進に理解を示すも、生物多様性の喪失が前提での再エネ施設の建設には断固反対していくという。