社会の厳しい掟?協同繁殖は「罰」によって成り立っていた!
発表日:2024.04.09
大阪公立大学大学院理学研究科の日髙大学院生、十川特任研究員、幸田特任教授、安房田教授らの研究グループは、親以外の個体が子育てを手伝う行動(協同繁殖)に関するユニークな新知見を発表した。協同繁殖は親のコストを軽減し、子の生存率や成長率の向上に寄与する仕組みと考えられている。脊椎動物では鳥類やほ乳類、魚類で確認されているが、その実態やメカニズムは謎に包まれている。同研究グループは、報告例の少ない魚類を対象に、両親以外の個体(ヘルパー)による繁殖巣の掃除や、近づいてくる他種を追い払う行動を一旦妨げ、再び両親や侵入者がいる環境に戻す、ユニークな実験を行った。その結果、1)親が怠惰なヘルパーに対して「罰」を与えること、2)罰を受けたヘルパーはその後の手伝い量を増加させること、3)ヘルパーが罰を受ける前に先手を打って手伝い量を増加させ、親からの罰を回避していることが明らかになった。本成果は魚がヒトと同じように、高度な認知能力を駆使して社会を維持していることを示しており、研究者は“動物全般の賢さ”を見直す時期が来ているのではないか、と投げかけている(DOI: https://doi.org/10.1016/j.anbehav.2024.02.020)。
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