土壌圧密が森林遷移に与える影響⋯14年間の野外実験で明らかに
発表日:2024.11.15
東京大学大学院農学生命科学研究科の日浦教授と北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの中村教授らは、土壌圧密が樹木種数やバイオマス、土壌の健全性に与える影響を解明した。今回の成果は、14年間にわたる大規模野外実験を通じて得られたもの。日浦教授らは、北海道大学苫小牧研究林に設置された24区画の実験区を用いて、土壌の物理化学的特性、樹木種組成、微生物群集の機能的多様性に及ぼす影響を調査した。その結果、土壌圧密が樹木の多様性と土壌の分解機能に正の相互作用をもたらし、特に鳥による種子散布が阻害されることが示された。また、放棄地の自然再生や都市緑地の造成において、樹木の多様性と土壌の健全性が相互に依存していることが示唆された。さらに、都市部の森林緑地は、生態系サービスの提供や生物多様性の維持に重要な役割を果たすが、土壌圧密がその発達を阻害する主要因となっていると考えられた。これらの知見は、都市林の設計において生態系を基盤とした解決策の重要性を示しており、樹木の間引きや選伐などの具体的な施業方法にも応用可能であると述べている。
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