環境ナッジ効果に期待!デザイン活動を強調したSTEAM教育
発表日:2025.01.20
東京大学生産技術研究所・附属価値創造デザイン推進基盤の左右田(さゆうだ)助教らは、デザイン研究者の支援を受けた市民科学プログラムの有効性を実証した。本研究は、東京大学と日本財団の研究プロジェクト「OMNIマイクロプラスチック」の一環として行われたもので、研究者と地域の人たちが相互的に学び合いながら問題解決を図るという考え方に基づいている。市民科学プログラムの具体的な内容は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)の5つの領域を対象とした「STEAM教育」の理念に基づいて設計されている。今回、左右田助教らは、市民参加型科学の可能性を探る研究の一環として、デザイン領域を強調したSTEAM教育プログラムを実践し、さらに参加者の行動変容(ナッジ)を追跡調査した。15名の小学生が9週間にわたり、マイクロプラスチックのサンプリングや観察、自由研究を行い、さらにデザイン研究者のサポートを受けながら、親子で問題解決のアイデアを考えるワークショップを実施した結果、親子の協働が地域全体の環境行動を促進する可能性が示された。なかでも、デザインされたサンプリングデバイスや分別シートを用いた活動の効果が顕著で、親子の協力を引き出し、地域全体の問題意識を高める効果が観察された。また、プログラム終了後も、参加者は自主的に活動を継続し、地域での発表や動画作成を行いました。──本成果は、親子参加型の市民科学プログラムが地域全体の問題意識と行動変容を促す可能性(ナッジ効果)を持つことを示し、STEAM教育や市民参加型科学研究の新たな価値を提示するものとなっている。