先哲の探求理論をモデル化~地域合意形成の新アプローチ
発表日:2025.04.04
東北大学流体科学研究所の鈴木准教授らは、アメリカの哲学者C.S.パース(1839-1914)の探究理論を応用した数理モデル「自由エネルギー原理」を用いて、地熱・温泉資源の活用における関係者の価値観の違いを整理し、設計に与える影響を明らかにした。C.S.パースの探究理論は、人が「驚き」や「疑問」から探究を始め、仮説を立て、論理的に推論し、経験によって検証するプロセスを示した理論である。──研究グループは、地域の土地・資源開発では、技術を優先する設計者が利用者や周辺住民の価値観を受け入れずに作業を進めがちであることや、結果として発電事業者や温泉経営者、地域住民の間で意見が対立することが少なくないことを踏まえ、C.S.パースの理論を人間の脳における情報処理の仕組み、すなわち「脳が予測と現実のズレ(予測誤差)を最小化しながら環境に適応する仕組み(本研究では「自由エネルギー原理」と呼ぶ)」をモデル化し、さらに資源工学・デザイン・計算論的神経科学といった分野の学際的なアプローチに応用する研究に取り組んだ。その結果、C.S.パースの理論に基づき、地熱・温泉資源の活用における関係者の価値観の違いを整理し、それが設計に与える影響を評価し、どのような意思決定を行うのかを理論的に考察できることが分かった。研究者は、地熱開発や地域共創の場面などにおける設計プロセスの改善はもとより、地域共創に関する学際的な研究の促進、その実践的応用の拡大に資する新たなアプローチの創出・発展につながる成果であると述べている。
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