新・首都圏白書 閣議決定-環境共生の展望や地域再生策を明示
発表日:2025.05.27
国土交通省国土政策局がとりまとめた令和7年版「首都圏白書」が閣議決定された。本白書は、首都圏整備法第30条の2に基づき、首都圏整備計画の策定および実施状況を国会に報告する年次文書である。対象地域は1都7県(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨)である。国土交通省国土政策局は、2025年5月27日、令和7年版「首都圏白書」を閣議決定した。本白書は、首都圏整備法第30条の2に基づき、首都圏整備計画の策定および実施状況を国会に報告する年次文書である。対象地域は1都7県(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨)である。
今回の白書では、人口動態、産業構造、防災力、社会資本整備、環境共生、国際競争力、東京一極集中の是正といった6つの主要テーマに加え、地域生活圏の形成や二地域居住の促進、関係人口の拡大といった新たな視点が盛り込まれた。
人口面では、首都圏の総人口は2020年をピークに減少傾向にあるが、2024年には出入国者数や転入超過の影響で一時的に増加した。特に20代の東京圏への転入率が上昇しており、若年層の都市集中が続いている。一方で、生産年齢人口の減少と高齢化の進行が顕著であり、地域の持続可能性が問われている。
社会資本整備では、道路陥没事故を契機とした下水道管路の全国特別重点調査や、日本版ライドシェアの導入など、インフラの安全性と地域交通の多様化に向けた取り組みが進められている。防災面では、帰宅困難者対策ガイドラインの改定や、官民連携による訓練の実施が報告された。
地域生活圏の形成に関しては、群馬県前橋市の民間主導による中心市街地の再生や、栃木県那須町の二地域居住体験プログラム、群馬県沼田市の「二拠点教育」など、地域の自立的な活性化事例が紹介された。これらは、定住人口に加え、関係人口の拡大を通じた地域づくりの新たなモデルとして注目される。
国際競争力の強化に関しては、成田空港の機能強化やリニア中間駅を核とした新たな圏域形成、観光振興や都市再生施策の展開が進められている。神奈川県のロボット産業特区や山梨県の実証実験支援など、先端技術を活用した地域戦略が具体化されつつある。
なお、本白書では「環境との共生」を独立した節として設け、都市公園の再編や国際園芸博覧会の開催準備などを通じて、自然と調和した都市づくりの方向性を強調している。先進事例として、川崎市の富士見公園の再編整備や、2027年に横浜市で開催予定の「GREEN×EXPO 2027」に向けた準備状況が示された。自然環境の価値を再評価し、持続可能な社会の形成を目指す姿勢が明確化されたものと受け取れる。
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