東京建物✕森林総研、「大手町の森」でウェルビーイング研究を始動
発表日:2025.08.27
東京建物と森林研究・整備機構森林総合研究所は、都市緑地が人々のウェルビーイング向上に与える影響を科学的に検証する共同研究を開始した。東京都千代田区の大手町タワー敷地内に広がる都市緑地「大手町の森」において、国立研究開発法人と不動産デベロッパーがタッグを組む、国内初の事例となる。
「大手町の森」は、約3,600㎡の敷地に広がる都市型の森で、千葉県君津市で育成された植物を移植する「プレフォレスト」手法により2013年に造成された。自然の森に近い形で管理されており、ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の保全にも寄与している。敷地内の気温は開発前後で平均1.7℃低下し、雨水の貯留・再利用による内水氾濫の抑制機能も備える。
本研究では、大手町周辺のワーカー30名を対象に、ストレスホルモンや交感神経活動などのバイタルデータと心理調査を組み合わせて、緑地滞在が身体的・精神的健康に与える影響を定量的に評価する。また、WBGT(湿球黒球温度)やPMV(予測平均温冷感)などの指標を用いて温熱環境の快適性・安全性も測定する。――既往調査によると、「大手町の森」では2013年時点で107種だった植物が2021年には208種に増加し、東京都のレッドリストに掲載される希少種も確認されている。昆虫類129種、鳥類13種も生息しており、都心における生態系ネットワークの形成に寄与している。共同研究は2026年3月まで実施され、都市緑地の多面的な価値を科学的に可視化する取り組みも行われる。