東北大と唐津市、ネイチャーポジティブモデル構築に向けて連携
発表日:2025.07.22
東北大学大学院生命科学研究科と佐賀県唐津市は、ネイチャーポジティブの実現に向けた連携協定を2025年7月17日に締結した。本協定は、地域の自然資本を活かしながら、自然と調和した持続可能な社会の構築を目指すものである。
ネイチャーポジティブとは、2020年を基準に2030年までに自然の喪失を回復基調に転じ、2050年までに完全な回復を達成するという国際的な目標である。――唐津市は2025年3月に開催した「Nature Positive Forum 九州 #1 KARATSU」において、佐賀県内自治体として初めて「ネイチャーポジティブ宣言」を表明。これを契機に、東北大学のネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(NP拠点)との連携が強化された。NP拠点は、近藤倫生教授を中心に、環境DNA技術などの先端科学を活用し、自然資本の可視化や地域人材の育成、産業創出を推進している。2022年度からは文部科学省のCOI-NEXTプログラムにも採択されている。
今回の協定では、里地・里山・里海の価値の再認識、生物多様性の保全、自然資本を活用した事業化、知的・人的資源の活用など、6項目にわたる協力事項が定められている。唐津市では既に環境DNAを用いた生物多様性のプレ調査が実施されており、今後は科学的モニタリングの導入や、藻場造成など地域の実践的取り組みとの連携が進められる予定である。プロジェクトを主導する近藤教授は、「科学だけでなく人と人のつながりを大切にしながら、唐津市とともに先進的なネイチャーポジティブモデルを築いていきたい」と述べている。