集落はこの5年でどう変わった?人口・高齢化・存続予測のこれから
発表日:2025.08.08
国土交通省と総務省は、令和6年4月時点の人口動向を対象に、条件不利地域における集落の現況把握調査を合同で実施した。前回調査(令和元年度)から5年ぶりの実施であり、過疎地域、山村、離島、半島、豪雪地帯など、特別措置法に基づく1,085市町村を対象としている。
調査の結果、令和6年4月時点で条件不利地域に存在する集落数は78,485集落、総人口は1,432.9万人であり、1集落当たりの平均人口は184.9人であった。住民の半数以上が65歳以上である集落の割合は40.2%に達し、前回調査の29.2%から10ポイント以上増加した。全国総人口における65歳以上人口の割合は29.3%であり、集落の高齢化が顕著である。
前回調査と比較可能な1,038市町村においては、集落数が694減少し、うち296集落が無人化、617集落が再編により減少、新たに誕生した集落は219であった。集落人口は1,339.7万人で、前回比7.5%減、平均人口も14.6人減少している。
今後の動向予測では、「当面存続」とされた集落は73.8%で、前回の86.3%から12.5ポイント減少。「いずれ無人化」は4.2%、「10年以内に無人化」は0.6%と微増・微減で推移している。前回「10年以内に無人化」と予測された499集落のうち、実際に無人化したのは63集落(12.6%)であった。
無人化が危惧される集落では、交通手段としてデマンドバス・乗合タクシーの利用が35.5%と最も多く、前回比で5.9ポイント増加。一方、公営・民営路線バスの利用は減少傾向にある。空き家の管理が不十分な集落は64.5%、道路や排水路などのインフラが荒廃している集落は47.1%に上る。生活サービスの立地状況では、無人化が危惧される集落において、商店・スーパー(3.6%)、飲食店(5.8%)、ATM(2.5%)、病院・診療所(1.7%)など、いずれも当面存続集落に比べて著しく低い立地割合となっている。一方、集落支援員や地域おこし協力隊などのサポート人材が活動する集落の割合は増加傾向にあり、集落支援員は28.8%(前回比+9.5ポイント)、地域おこし協力隊等は22.0%(+2.1ポイント)であった。
調査結果は国土交通省の公式サイトで公表されており、今後の集落政策の基礎資料として位置づけられている。――本調査は集落の人口動向と生活環境の実態把握に主眼を置いたものであるが、集落で生活する人々のさまざまな環境の成り行きを照らしている。自然環境の変遷を予測するうえでも興味深いデータと思われる(本サイト・ニュース担当)。
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