中部大、ヨウムのGPSトラッキング放鳥に世界初成功
発表日:2025.09.08
中部大学は、国際協力機構(JICA)と共同で進める「ウガンダ国絶滅危惧種ヨウム保全の地域連携モデルケース構築支援」プロジェクトにおいて、世界初となるヨウムのGPSトラッキング放鳥に成功した。
ヨウムはアフリカ中西部から東部にかけて生息する大型インコで、ペット需要による乱獲や密輸により個体数が激減。2016年にはワシントン条約で野生個体の国際取引が禁止されたが、減少傾向は続いている。
本プロジェクトは2022年3月にJICAとの業務委託契約により開始され、自然環境研究センター、北海道大学、岐阜大学などと連携し、現地ではウガンダ野生生物センター(UWEC)、ウガンダ野生生物庁(UWA)、ウガンダ国立マケレレ大学と協力して実施されている。今回の放鳥は、GPS機器の選定・装着方法の確立、野生果実への馴致、飛翔力による個体選抜、地方行政府や民間団体との連携など、2年以上にわたる準備を経て実現した。
放鳥後のGPSデータからは、オスとメスで行動範囲や様式に顕著な違いがあることが判明しつつあり、これまで不明だったヨウムの生態解明に資する重要な知見が得られている。ウガンダ側から強く求められていた放鳥技術の移転も達成され、今後の保全活動に向けた技術的基盤が整いつつある。――中部大学は本事業を2026年5月まで継続する予定であり、国際的なパートナーと連携しながら、自然資源と地域社会を守る持続可能なモデルづくりに取り組んでいる。