情報開示型ナッジでエコフィードへの関心を高め、食品ロス削減!
発表日:2025.09.12
東京農業大学と明治大学の研究グループは、牛肉の飼料情報に関する提示方法が消費者の関心度に与える影響を実証的に検証し、社会的便益を訴えるナッジが有効であることを明らかにした(掲載誌:Food Quality and Preference)。
日本の牛肉自給率はカロリーベースで45%とされるが、飼料まで含めると実質的な自給率は12%にまで低下する。――本研究では、全国の牛肉購入者を対象にオンライン調査を実施し、飼料情報の提示方法によって関心度がどのように変化するかを分析。特に「国産飼料の利用による自給率向上」や「エコフィードの利用による食品ロス削減」といった社会的便益を強調した情報提供が、統計的に有意な関心度の上昇をもたらすことが確認された。
調査は2回に分けて実施され、ベストワーストスケーリング(BWS)と差の差分析(DID)を用いて評価。処置群③(自給率向上)と処置群④(食品ロス削減)では、飼料への関心度が有意に上昇した(p=0.018, p=0.004)。一方、個人的便益(価格安定・品質向上)を訴える処置群②では有意差は見られなかった。日本では、飼料用米やエコフィードの導入が進められているが、消費者の理解は十分とは言えず、表示制度もEUに比べて整備が遅れている。本研究は、飼料情報の伝え方を工夫することで、消費者の意識を変え、持続可能な農業や食料安全保障の推進に寄与する可能性を示した。
本成果は、飼料情報の提示方法が消費者行動に与える影響を科学的に検証したものであり、政策設計や教育現場への応用が期待される。
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