廃小型家電6品目のAI利用・無人選別プラント実証(NEDOプロ)
発表日:2025.09.25
産業技術総合研究所(産総研)は大阪府堺市で、大栄環境、佐藤鉄工と共に、廃小型家電の無人選別プラント「CEDESTシステム」の実証を開始した。本システムは、AIによる機種判定と自律制御によって、電池解体から電子素子の単体分離までを無人で処理し、貴金属・銅・レアメタルなどを高精度回収することを目標としている。
本実証の背景には、2013年施行の小型家電リサイクル法に基づく資源循環の促進と、リチウムイオン電池による火災リスクの増加、作業者不足などの課題がある。これらを踏まえ、産総研らは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援のもと、「高度循環型システム構築に向けた廃電気・電子機器処理プロセス基盤技術開発(2023〜2027年度、総予算約55億円)」の一環として、産総研が中心となりCEDESTシステムを開発した。――CEDESTは、6品目(スマートフォン、タブレット、フィーチャーフォン、デジタルカメラ、ビデオカメラ、小型ゲーム機)を対象に、AIが2D/3D画像から機種を判定し、最適な破砕・選別工程へ自動振り分ける。電池解体ではX線解析と冷却・衝撃による安全な分離を実現し、筐体解体では過破砕を防止する機構を備える。さらに、電子素子を基板から原型のまま剥離し、磁性・比重・導電性などに基づく選別装置群により、素子種ごとの高度な資源回収を可能にしている。
実証システムは、最大処理能力7,200台/時(製品ソーター)をはじめ、各工程で高い処理性能を有し、完全無人化を目指した構成となっている。今後は連続稼働試験を通じて、詰まりや誤作動などの実用性を検証し、対象製品や素材種の拡張、メンテナンス性の向上を図る。本プロジェクトの成果は、9月29日に東京・内幸町で開催される「モノづくり日本会議 第59回新産業技術促進検討会シンポジウム」にて報告される予定である。