LLMが専門家となり材料科学分野の解決策を導く新手法
発表日:2025.10.03
横浜市立大学は、東京科学大学およびAGCと共同で、大規模言語モデル(LLM)を活用した分野横断的な課題解決手法「SELLM(Solution Enumeration via comprehensive List and LLM)」を開発し、材料科学分野における困難な技術課題に対して有効な解決策を生成できることを実証した(掲載誌:Communications Materials)。
本手法は、網羅的な知識リストをもとにLLMを「専門家」として振る舞わせ、異分野の視点から多様な解決策を導出するものである。SELLMは、国際特許分類(IPC)や元素リストなどを活用し、課題に対して多角的なアプローチを可能にする。実験では、有機EL照明の光取り出し効率やIGZO-TFTの接触抵抗といった技術課題に対し、従来の発想では得られなかったガラスフリットペーストやパラジウムの活用といった有望な代替案が生成された。これらは、専門家による評価(HBE)でも高得点を獲得し、SELLMの有効性が確認された。
本手法の最大の特徴は、知識リストの選定によって生成されるアイデアの幅を柔軟に制御できる点にある。研究室や企業が保有する技術資産を活用することで、現場に即した創発的な解決策を得ることが可能となる。LLMの種類に依存せず、汎用性の高いフレームワークとして、産学を問わず幅広い分野への応用が期待される。……既存の知識体系に対して構造的な入力を加えることで、LLMが従来の枠組みでは見落とされがちな組み合わせや視点を導き出し、探索の幅を広げる枠組みとして機能し得るのかもしれない。