国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、南極氷床の融解が予想より早く進んでいるとする論文を紹介した。24例の衛星観測結果から1992年から2017年までの南極氷床の質量収支を分析した結果、2012年以降、氷量の減少はそれ以前の3倍の速度で進んでいるという。2011年までの毎年の減少量760億トンに対し、2012年以降は年2190億トン、海面水位の上昇では年0.2ミリメートルが年0.6ミリメートルに増加した。1992年から2017年までの25年間の海面水位上昇は7.6ミリメートルであるが、2012年からの5年間では3ミリメートルと近年の上昇が著しい。この速度で融解すると海面水位は2100年までに最低でも15センチメートル上昇し、南極の全氷床が融解すると58メートル上昇するという。海面水位上昇は低地の浸水だけでなく、淡水水源の汚染、塩害による農業の被害等生活と生産活動に大きな影響がある。研究は、パリ協定に従った気候変動対策が急務であることを示している。