国連気候変動枠組条約(UNFCCC)は、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の報告を基に、過去20年間に気候関連災害による経済的損失が急増したと報じた。損失は1978~1997年の間の8950億ドルに対し、1998~2017年の間では2兆3000億ドルとなった。背景に極端気象の加速度的な増加がある。この20年間の災害の91%は気候関連で、うち最も多いのは洪水と暴風雨であった。損失額としては上位から米国、中国、日本、インドの順に多く、被害は先進国、途上国にかかわらず及んでいるが、年平均損失額のGDP比では上位10位のうち高所得地域はプエルトリコのみで、他は貧困国である。報告書は、富裕国と貧困国の間の「プロテクションギャップ」を強調している。災害疫学研究センター(CRED)所長によると、気候変動の最大の被害者は温室効果ガス排出が最も少ない国々であるという。報告書は、災害が開発に及ぼす脅威に取組む最も効果的な方法として、投資意思決定に災害リスク軽減を含めるよう提言している。