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 岡山大、インク成分の内分泌かく乱作用の可能性に関する動物実験の成果を発表

発表日:2021.09.03


  岡山大学は、「重合開始剤」による乳がん細胞の増殖を動物実験で確認した。重合開始剤は、インクジェットプリンター用のUV硬化型インクや歯の詰め物を作る時など、製品の製造に幅広く利用されている。同大学は、重合開始剤の内分泌かく乱作用を試験管内の研究(in vitro)で明らかにしていた(Morizane, M. et al., 2015)。今回の研究では、MCF-7乳がん細胞株を異種移植したマウス(in vivo)を用いて、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(1-HCHPK)、2-ベンゾイルベンゾエートメチル(MBB)ならびに2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(MTMP)の3種類の重合開始剤を皮下注射し、エストロゲン活性の有無を調べた。その結果、1-HCHPK、MBBならびにMTMPが、乳がんの増殖を促進する作用を有することが示唆された。また、エストロゲン受容体拮抗薬であるタモキシフェンを前処理すると、各種重合開始剤の腫瘍増殖促進効果が抑制された。これらの知見により、体内に入った重合開始剤は乳がん組織に到達し、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の内分泌かく乱を引き起こす可能性が示唆された。

情報源 岡山大学 プレスリリース
機関 岡山大学
分野 健康・化学物質
キーワード 内分泌かく乱 | エストロゲン | 毒性評価 | in vitro | 重合開始剤 | UV硬化型インク | 乳がん | エストロゲン受容体拮抗薬 | 腫瘍増殖促進効果 | 歯科用樹脂
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