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 愛媛大、クジラの毒性影響評価技術を高度化

発表日:2021.07.27


  愛媛大学は、小型鯨類の体細胞から直接「神経細胞」を樹立し、毒性評価する技術を開発した。残留性有機汚染物質(POPs)などの環境汚染物質は海棲哺乳類の体内に高濃度で蓄積する。同大学は、鯨類への毒性影響に関する調査研究の一環として、瀬戸内海に分布するスナメリの「線維芽細胞(真皮の成分を作る細胞)」を培養し、ポリ塩化ビフェニル(PCBs)等のin vitro細胞毒性評価に関する成果を発表している(Ochiai, M. et al., 2020)。今回、茨城県鉾田市で集団座礁した「カズハゴンドウ」の組織を用いて線維芽細胞を培養し、さらに低分子化合物の混合液で数週間処理したところ、神経細胞様の形態を有する細胞が得られた。この細胞について免疫染色や遺伝子発現解析などを行った結果、線維芽細胞から後天的な修飾を取り除き「直接分化誘導(ダイレクトリプログラミング)」された誘導神経細胞(iNCs)であることが実証された。一方、iNCsをPCBsの代謝物に24時間暴露したところ、80%の細胞で能動的な細胞死(アポトーシス)が観察され、クジラの健康に影響する遺伝子の発現量が増加するという知見も得られた。神経毒性試験法が開発されていない他の海棲哺乳類への応用が期待できるという。

情報源 愛媛大学 プレスリリース
機関 愛媛大学
分野 健康・化学物質
自然環境
キーワード ポリ塩化ビフェニル | 毒性評価 | 海棲哺乳類 | 小型鯨類 | 線維芽細胞 | カズハゴンドウ | 直接分化誘導 | ダイレクトリプログラミング | アポトーシス | 神経毒性試験
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