環境基準について

大気汚染に係る環境基準

大気汚染に係る環境基準は、公害対策基本法第9条第1項の規定に基づき、大気汚染に係る環境上の条件について、人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準として定められたものである。大気汚染物質のうち、次の物質について環境基準が定められている。

大気の汚染に係る環境基準について(昭和48年5月環境庁告示第25号/改正 平8環告73)
二酸化窒素に係る環境基準について(昭和53年7月環境庁告示第38号/改正 平8環告74)
微小粒子状物質による大気の汚染に係る環境基準について(平成21年9月環境省告示第33号)
物質名 環境基準
二酸化窒素 (NO2) 1時間値の1日平均値が 0.04ppm から 0.06ppm までのゾーン内又はそれ以下であること。 (53.7.11告示)
浮遊粒子状物質 (SPM) 1時間値の1日平均値が 0.10mg/m3 以下であり、かつ、1時間値が 0.20mg/m3 以下であること。 (48.5.8告示)
光化学オキシダント (OX) 1時間値が 0.06ppm 以下であること。(48.5.8告示)
二酸化硫黄 (SO2) 1時間値の1日平均値が 0.04ppm 以下であり、かつ、1時間値が 0.1ppm 以下であること。 (48.5.16告示)
一酸化炭素 (CO) 1時間値の1日平均値が 10ppm 以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が 20ppm 以下であること。 (48.5.8告示)
微小粒子状物質 (PM2.5) 1年平均値が 15μg/m3 以下であり、かつ、1日平均値が 35μg/m3 以下であること。 (H21.9.9告示)

(備考)

  1. 工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域または場所については、適用しない。
  2. 浮遊粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が 10μm 以下のものをいう。
  3. 光化学オキシダントとは、オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質(中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離するものに限り、二酸化窒素を除く。) をいう。
  4. 微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が 2.5μm の粒子を 50% の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。

炭化水素濃度の指針

光化学オキシダントの要因物質である炭化水素の低減が急務であることに鑑み、炭化水素の排出抑制のための有効な方策を実施するとともに、大気中の炭化水素濃度の監視測定体制の整備を推進する必要があるとして設定されたものである。

光化学オキシダントの生成防止のための大気中炭化水素濃度の指針について
物質名 指針
非メタン炭化水素 (NMHC) 午前6時から午前9時までの非メタン炭化水素濃度を 0.20ppmC から 0.31ppmC の範囲以下とすべきであるとしている。

(昭和51年8月13日中央公害対策審議会答申)

環境基準達成状況の評価

環境基準による大気汚染の状況の評価については、次のとおり取り扱うこととされている。

ア.短期的評価(二酸化窒素及び微小粒子状物質を除く)
測定を行った日についての1時間値の1日平均値もしくは8時間平均値又は各1時間値を環境基準と比較して評価を行う。
光化学オキシダントについては、1時間値の年間最高値を環境基準と比較して評価している。
イ.長期的評価
・二酸化窒素
1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、低い方から数えて98%(例えば、年間有効測定日が350日の場合には343(=350 × 0.98)番目に当たる値(1日平均値の年間98%)を環境基準と比較して評価を行う。
・浮遊粒子状物質、二酸化硫黄及び一酸化炭素
1年間の測定を通じて得られた1日平均値のうち、高い方から数えて2% の範囲にある測定値(例えば、年間有効測定日が335日の場合には7(=335 × 0.02、四捨五入)個の測定値)を除外した後の最高値(1日平均値の年間2% 除外値)を環境基準と比較して評価を行う。ただし、上記の評価方法にかかわらず1日平均値につき環境基準を超える日が2日間以上連続した場合には非達成と評価する。
・微小粒子状物質
長期基準に対応した環境基準達成状況は、長期的評価として測定結果の1年平均値について評価を行うものとする。
短期基準に対応した環境基準達成状況は、短期基準が健康リスクの上昇や統計学的な安定性を考慮して年間98パーセンタイル値を超える高濃度領域の濃度出現を減少させるために設定されることを踏まえ、長期的評価としての測定結果の年間98パーセンタイル値を日平均値の代表値として選択し、評価を行うものとする。
測定局における測定結果(1年間平均値及び98パーセンタイル値)を踏まえた環境基準達成状況については、長期基準及び短期基準の達成若しくは非達成の評価を各々行い、その上で両者の基準を達成することによって評価するものとする。

日本の大気環境Light版では、1990年、2000年、2010年、2020年および最新年度について各測定局ごとの環境基準達成状況を確認することができる。
環境GIS+では、すべての年度の環境基準達成状況を確認することができる。