環境省では、1975(昭和50)年度から1994(平成6)年度まで実施してきた「日本近海海洋汚染実態調査」で得られた調査結果を基礎としつつ、国連海洋法条約が我が国で発効したことを受け、従来の水質、底質等の調査に海洋生態系等を対象に加え調査内容を拡充した「海洋環境モニタリング調査」を1998(平成10)年度から実施している。
なお、日本近海海洋汚染実態調査終了後の1995(平成7)年度~1997(平成9)年度には「海洋環境保全調査」を実施している。
年度 | 報告書 |
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平成10~11 (1998~1999) 年度 | 海洋環境モニタリング調査結果(平成10~11年度,中間報告) |
平成13 (2001) 年度 | 平成13年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成14 (2002) 年度 | 平成14年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成15 (2003) 年度 | 平成15年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成16~17 (2004~2005) 年度 | 平成16年度及び17年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成18 (2006) 年度 | 平成18年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成19 (2007) 年度 | 平成19年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成20 (2008) 年度 | 平成20年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成21~22,24 (2009~2010,2012) 年度 | 平成24年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成25 (2013) 年度 | 平成25年度海洋環境モニタリング調査結果の公表について |
平成26 (2014) 年度 | 平成26年度海洋環境モニタリング調査結果の公表について |
平成27 (2015) 年度 | 平成27年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成28 (2016) 年度 | 平成28年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成29 (2017) 年度 | 平成29年度海洋環境モニタリング調査結果について |
平成30 (2018) 年度 | 平成30年度海洋環境モニタリング調査結果について |
令和元 (2019)、令和2(2020)年度 | 令和元年度及び令和2年度海洋環境モニタリング調査結果について |
令和3 (2021)年度 | 令和3年度海洋環境モニタリング調査結果について |
(2023年11月現在)
特に大きな汚染負荷が存在すると考えられる内湾や沿岸域から、その沖合にかけての汚染物質の分布や濃度勾配を把握することで、陸域起源の汚染負荷が海洋環境に及ぼす影響を把握することを目的としている。
陸上で発生した廃棄物、港湾等のしゅんせつ工事によって生じた水底土砂、不要となった海洋施設(海底油田・ガス田のためのプラットフォーム等)を、海洋にて処理することを海洋投入処分という。
近年において相当量の処分が実施されているII・III・IV海域(旧B・C・F海域)において、海水、堆積物、海洋生物の汚染状況を把握することを目的としている。
「陸域起源の汚染を対象とした調査」および「廃棄物等の海洋投入処分による汚染を対象とした調査」の目的を達成するために下記調査を行っている。
水質調査 |
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底質調査 |
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生体濃度調査 |
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生物群集調査 | 底生生物は底質環境の変化に伴い、多様度、生物量および優占種等が変化する。底生生物の組成の変化等を捉えることを目的としている。 |
プラスチック類等調査 | 海面を漂流するプラスチック類等のゴミが、沿岸から沖合に向かってどの様に分布しているかを把握することを目的としている。 |
調査方法は海洋環境モニタリング指針に従うこととしている。なお、試料の採取等は以下の方法により実施されている。
海水 |
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堆積物 | 堆積物試料は平成15年度よりマルチプルコアラーを用いて採取され、堆積物表面から 3cm までを試料としている。 |
生体濃度試料 | イガイ類は岸壁で採取し、底生性サメ類、イカ類、タラ類及び甲殻類は原則として漁業者より購入している。また、メガベントスは、底生生物採集用ビームトロールを用いて採取され、マイクロネクトンは、魚探で何らかの生物がいると思われる深度を確認した後、ORI ネット(口径 1.6m 、目合 2mm)により、傾斜曳きを実施し採取される。 |
生物群集試料 | 底質調査で採取した堆積物より分離採取される。マクロベントスは目合 1mm の篩上に溜まったものを試料としている。メイオベントスは表面積 10cm2 、堆積物表面から 5cm 深までのサブコアを採取し、目合 1mm の篩を通過し、目合 0.038mm の篩上に溜まったものを試料としている。 |
プラスチック類等調査試料 | プラスチック類等は気象庁型ニューストンネット(間口 71.5 × 71.5cm)を用いて、2ノット、20分間の表層曳きにより採取される。荒天時においてもネット開口部が常に海面を捉えられるように平成16年度に改良した曳網方法を用いている。 |
水質調査、底質調査、生物群集調査及びプラスチック類等調査については、A~H等の測線で行われているが、1998年以降の海洋環境モニタリング調査における測点は、1997年以前の日本近海海洋汚染実態調査及び海洋環境保全調査の同一位置とD測線を除き測点名が異なっている。
1998年度以降のA~Hの測点と1997年度以前の測点との関連付けは、対照表 [PDF11KB] の通りである。
廃棄物の海洋投入処分は、海洋汚染防止法及び廃棄物処理法により規制されている。投入処分が可能な海域は、海洋投入処分海域図 [PDF410KB] に示すとおり設定されている。
I海域(未設定(旧A海域))は、2007年以前は有害性の大きい物質を固化した廃棄物の投入処分海域であったが、実際には1981年以降、このような廃棄物の投入処分は実施されておらず、2007年の海洋汚染防止法改正後には、投入処分が禁止されており、調査対象外とされている。II海域(旧B海域)に投入処分されていた廃棄物は、主として非水溶性無機性汚泥である。 具体的な廃棄物の品目としては赤泥や建設汚泥が挙げられる。III海域(旧C海域)では、有機性の廃棄物が投入処分されていた。具体的な品目としては、し尿及びし尿浄化槽汚泥や有機性汚泥、廃酸・廃アルカリ、動植物性残さ、家畜ふん尿等が挙げられる。IV海域(旧F海域)においては水底土砂の投入処分が可能とされていた。
海洋投入処分にあたっては、有害化学物質が混入する恐れのある廃棄物については判定基準が定められており、この基準を満たしたものだけを投入処分することができる。
調査は、II海域の測点名をX、III海域の測点名をYとし、II・III海域を対象にして実施されている。
対象としている海域(排他的経済水域内)は非常に広大であり、すべての海域を単年度で調査することは困難であることから、当該調査海域を3~5年で一巡することを原則とし、1998~2007年度の10年間で二巡の調査が終了している。 2008年度以降は海域を8年程度で一巡することを前提とした調査計画を立て、経年的な変化を捉えるとともに、海洋環境の実態について総合的な評価を行うこととしている。
調査時期については、日本近海海洋汚染実態調査 (1975~1994) では、1975年度から1980年度まで夏と秋の年2回の調査を実施していたが、それ以降の調査は年1回、主に夏期に実施していた。また海洋環境保全調査(1995~1997) 及び 海洋環境モニタリング調査 (1995~) に切り替わってからは年1回、秋期に実施している。