自動車騒音の常時監視結果データの説明

自動車騒音常時監視について

自動車騒音の常時監視は、騒音規制法に規定され、都道府県及び騒音規制法上の政令市が自動車騒音対策を計画的に行うために地域の騒音を経年的に監視することが必要であるとして平成12年度から実施しているものである。監視に当たっては、「騒音規制法第18条の規定に基づく自動車騒音の状況の常時監視に係る事務の処理基準」に基づき、平成18年度以降、原則として5年間で対象となる地域全体の評価を行うこととしている。

ここで評価の対象となる範囲は、道路端から50mの範囲にある住居等としており、騒音に係る環境基準(平成10年環境庁告示第64号)に基づいて、環境基準の達成状況の評価が実施されている。

騒音に係る環境基準について

(平成10年9月30日環告64/改正 平成12年環告20・平成17年環告45・平成24年環告54)

環境基本法第16条第1項の規定に基づき、騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準として定められたものである。この環境基準に基づき、道路に面する地域における環境基準の達成状況の評価を実施し、自動車騒音の状況把握の必要に応じて、騒音の測定を行うこととしている。なお、この環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音及び建設作業騒音には適用されない。

環境基準

騒音に係る環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに定められ、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)が指定することとしている。なお、時間の区分は、昼間を午前6時から午後10時までの間とし、夜間を午後10時から翌日の午前6時までの間としている。

(1)一般地域

地域の類型 基準値
昼間 夜間
AA 50デシベル以下 40デシベル以下
A及びB 55デシベル以下 45デシベル以下
60デシベル以下 50デシベル以下

(注)

  1. AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域とする。
  2. Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。
  3. Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
  4. Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域とする。

(2)道路に面する地域

自動車の運行に伴う騒音が支配的な音源である地域(道路に面する地域)については、(1)の表によらず次表の基準値が適用される。なお、車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を有する帯状の車道部分をいう。

地域の区分基準値 基準値
昼間 夜間
A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域 60デシベル以下 55デシベル以下
B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域及びC地域のうち車線を有する道路に面する地域 65デシベル以下 60デシベル以下

(3)道路に面する地域(幹線交通を担う道路に近接する空間)

道路に面する地域において、幹線交通を担う道路に近接する空間については、(2)の表にかかわらず、特例として次表の基準値が適用される。

なお、「幹線交通を担う道路」とは、高速自動車国道、都市高速道路、一般国道、都道府県道、4車線以上の市区町村道のこととしている。そして、「幹線交通を担う道路に近接する空間」は、次の車線数の区分に応じ道路端からの距離により範囲が特定される。

  • 2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路    :  15メートル
  • 2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路  :  20メートル
基準値
昼間 夜間
70デシベル以下 65デシベル以下
個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45デシベル以下、夜間にあっては40デシベル以下)によることができる。

環境基準値

環境基準の基準値は、次の方法により評価した場合における値としている。

  1. 評価は、個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本とし、住居等の用に供される建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルによって評価するものとする。この場合において屋内へ透過する騒音に係る基準については、建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルから当該建物の防音性能値を差し引いて評価するものとする。
  2. 騒音の評価手法は、等価騒音レベルによるものとし、時間の区分ごとの全時間を通じた等価騒音レベルによって評価することを原則とする。
  3. 評価の時期は、騒音が1年間を通じて平均的な状況を呈する日を選定するものとする。
  4. 騒音の測定は、計量法(平成4年法律第51号)第71条の条件に合格した騒音計を用いて行うものとする。この場合において、周波数補正回路はA特性を用いることとする。
  5. 騒音の測定に関する方法は、原則として日本工業規格Z8731による。ただし、時間の区分ごとに全時間を通じて連続して測定した場合と比べて統計的に十分な精度を確保し得る範囲内で、騒音レベルの変動等の条件に応じて、実測時間を短縮することができる。当該建物による反射の影響が無視できない場合にはこれを避けうる位置で測定し、これが困難な場合には実測値を補正するなど適切な措置を行うこととする。また、必要な実測時間が確保できない場合等においては、測定に代えて道路交通量等の条件から騒音レベルを推計する方法によることができる。
    なお、著しい騒音を発生する工場及び事業場、建設作業の場所、飛行場並びに鉄道の敷地内並びにこれらに準ずる場所は、測定場所から除外する。

環境基準達成状況の地域としての評価

環境基準の達成状況の地域としての評価は、次の方法により行うものとしている。

  1. 道路に面する地域以外の地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域の騒音を代表すると思われる地点を選定して評価するものとする。
  2. 道路に面する地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域内の全ての住居等のうち環境基準の基準値を超過する戸数及び超過する割合を把握することにより評価するものとする。

「自動車騒音常時監視結果Light版」および「環境GIS+」

自動車騒音常時監視結果Light版」および「環境GIS+」の自動車騒音常時監視結果は、全国の自動車交通騒音の状況について、都道府県等が行った自動車騒音常時監視の結果を騒音測定結果、環境基準達成状況の評価結果別に地理情報システム(GIS)を用いて提供するものである。

騒音測定結果

調査地点における騒音測定結果を4段階で評価し、昼間、夜間別に全国マップに色分けをして表示している。

環境基準達成状況

評価区間における環境基準達成状況について4段階で評価し、分類別(昼間、夜間、昼夜)に全国マップに色分けをして表示している。「自動車騒音常時監視結果Light版」では、道路に面する地域全体の環境基準達成状況を確認できる。「環境GIS+」においては、さらに、幹線交通を担う道路に近接する空間と幹線道路に近接しない空間における環境基準達成状況についても確認することができる。

測定年度

自動車騒音常時監視結果Light版」では、最新年度および過去5年分の結果を、「環境GIS+」では全期間(2002年~)の結果を表示することができる。