地形は、地殻変動、火山活動、水の流れ、風などの自然現象により、地表面が変形を受けることによって形成される。生態系の保全や持続可能な土地利用を考える際には、その基盤となる地形や土壌にも目を向ける必要がある。
水は、地形の形成に大きな役割を果たしている。雨となって地表面に降り注いだ水は、標高の高いところから低いところへと流れ、やがて川となって海に注ぐ。その過程で、水は地表面を「侵食」し、削り取った土砂を「運搬」しながら徐々に細かい粒子に砕いていき、再び地表面に「堆積」させる。
一般に、川から海につながる河口付近には、細かい砂や泥が堆積した三角州が形成されることが多い。三角州は、似た形のギリシャ文字にちなんでデルタとも呼ばれ、アフリカのナイル川の河口にある大規模なナイル・デルタなどは、衛星写真でもその範囲を鮮明に判別できる。
三角州をはじめとする下流の平野は、保水力が高く肥沃であることから農業に適しており、古代より文明が発達し、人々の暮らしの舞台となってきた。また、干潟などの湿地の生態系が多く見られ、多様な生物のすみかとしても重要な意味を持っている。一方で、河川の氾濫や海面上昇などの影響を受けやすい脆弱な土地でもあり、人と自然との関わりが密接な場所といえる。
植物のようにも見えるサンゴは、実は動物である。そのサンゴ自身の骨格や、石灰藻、有孔虫、貝などの生物の死骸(石灰質の骨や殻)が固まり、長年積み重なってできた地形をサンゴ礁という。
多様な生物が生息するサンゴ礁には、陸地と接した「裾礁」、陸地との間にラグーンとよばれる浅い海を持つ「堡礁」、サンゴ礁だけがリング状につながった「環礁」などのタイプがある。これらのサンゴ礁は、様々な自然条件によって形成されるが、以下のように、地球のプレート運動と関係があるという説もある。
この説を裏づける一例として、カルスト台地で有名な山口県の秋吉台がある。秋吉台の石灰岩には約3億数千年前のサンゴの化石が多く含まれているが、これは、かつてのサンゴ礁がプレート運動によって移動し、長い年月を経て地表に現れたものと考えられている。
土壌とは、陸地の表面を覆うやわらかな薄い層のことで、主に岩石が風化してできた鉱物(無機成分)と、落ち葉などが微生物をはじめとする土壌生物に分解されてできた有機成分からなる。土壌に含まれる水分や養分は、太陽エネルギーや二酸化炭素とともに植物の生育に不可欠な存在である。また、微生物などの土壌生物は、分解者として、自然界の物質循環における重要な役割を果たしている。
地球上には、気候や植生などの条件の違いによって、さまざまな種類の土壌が存在する。例えば、熱帯林では、気温や湿度が高く、土壌生物による落ち葉などの分解が早く進むため、養分が蓄えられにくく、土壌の堆積は薄い。また、亜寒帯林ではそもそも低温で分解が進みにくいため、土は厚くてもやせている。これらに対して、温帯林では、落ち葉や枯れ枝が積もる量と、それが微生物などによって分解され吸収されていく量のバランスがよく、豊かな養分を含んだやわらかい土が、時間とともに厚く積み重ねられ、水を蓄える力も高い。