私たちの生活や産業を支えている資源は、地球上に限られた量しか存在しない「枯渇性」の資源と、太陽エネルギーにより繰り返し生産できる「再生可能」な資源に分けることができる。現代の豊かな社会の礎となっている化石燃料や金属・鉱物は、代表的な枯渇性資源である。
「石油はあと約40年分」と言われるときの年数を可採年数と呼ぶ。これは、現在の技術や市場価格で採掘して採算の合う資源埋蔵量を、年間使用量で割って算出するものである。この埋蔵量の数字は、真の資源存在量とは異なり、技術の進歩や市場価格の上昇によって増加していくため、実際には年月が経過しても可採年数はその通りに減ってはいない。
一方、地域別の生産量予測から推計すると、世界の石油生産は2010年から2030年頃にはピーク(頂点)を迎えその後は減っていくという説もあり、これをピークオイル説という。
ピークオイル説によると、ピーク以降は減っていく生産量に対して、特に発展途上国で増大する需要量とのギャップが急激に広がり、危機的状況に入ると予測されている。
ピークオイル説に対しては懐疑的な意見もあるが、自動車燃料や化学原料、農林水産業、電力などにおける石油依存度が高いことや、エネルギーの転換には技術的にも社会的にも時間がかかることなどを考えると、資源枯渇の可能性を踏まえつつ、より効率的なエネルギーの利用や、エネルギー源の多様化などに取り組む必要があると言われている。
古くから燃料として用いられてきた石炭は、特に産業革命以後、燃料のみならず化学工業や都市ガスの原料として重要な役割を担っていた。しかし20世紀に入ると、輸送や貯蔵性に優れ、重量当たりのエネルギー量も多い石油に、燃料としての主役の座を次第に奪われていく。第二次大戦後は、中東での石油の大量採掘により、産業分野でも石油にとって代わられ、さらに二酸化炭素の排出量の多さや燃焼時に発生する有害物質(硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ばいじんなど)も課題となり、活用が敬遠されていた時期もあった。
しかし、石炭は資源としてはコストも安く、埋蔵量も石油の数倍から10倍以上と豊富で、世界中から安定供給しやすいという特徴がある。そのため、現在では再び研究開発が進み、例えば従来のように直接燃焼する発電方式ではなく、石炭をガス化して燃焼し、その排熱も有効利用する「石炭ガス化複合発電」など、環境に配慮しながらエネルギー効率の向上を可能にする技術が実用化されつつある。
世界の石炭の可採埋蔵量(2019年末時点)は10,696億トン、人類があと何年石炭を利用できるかを示す「可採年数」(可採年数/年産量)は132年(BP統計2020年版)であり、将来的にさらなる有効活用の途が求められている。
天然ガスとは、地下から噴出する可燃性の炭化水素ガス(メタンなど)のことをいう。天然ガスの確認埋蔵量は2019年末で約198.8兆m3となっており、中東のシェアが約30.8%、欧州・ロシア及びその他旧ソ連邦諸国が約34.0%となっている。
日本での天然ガスの利用は、第一次オイルショック以前は一次エネルギー供給の約1%程度に留まっていた。これは、天然ガスを気体のまま大量に輸送することが難しかったためである。しかし、天然ガスを液体にした液化天然ガス(LNG)での輸送が可能になったことで輸入が進み2014年度に過去最高の24.2%に達し、2019年度は22.4%となっている。
天然ガスは、石油や石炭に比べて燃焼時の二酸化炭素や窒素酸化物の排出が少なく、硫黄酸化物やばいじんの発生がほぼゼロである。また、熱と電気を同時につくりだすコジェネレーションの燃料として利用され、エネルギー効率の向上にも役立っている。こうしたことから、天然ガスは環境にやさしいクリーンエネルギーとして注目されている。
世界全体での天然ガスの可採年数は2019年末時点で49.8年であるが、今後採鉱が盛んになり、採掘技術やコストの改善によって可採埋蔵量が増加すると期待されている。また、産出国が中東だけでなく世界各地に豊富に存在しているのも特徴である。日本のエネルギー政策にとっては、リスク分散の点からも天然ガスの利用への期待が高まる。