国立環境研究所、電力中央研究所、福島県環境創造センター、日本原子力研究開発機構ほか3研究機関・大学からなる研究チームは、セシウムボールが水生昆虫などに取り込まれていることを実証した。セシウムボールとは、ガラス質でセシウム(Cs)を相対的に多く含む粒子(サイズ:1 μm~1 mm程度)のうち、比較的サイズが小さく、球形を成す粒子の通称。東京電力福島第一原子力発電所事故初期の限られた時期に放出された不溶性Csに由来し、同事故固有の産物と考えられている。福島県の一部地域では放射性Cs濃度が100 Bq/kgを超える淡水魚が散見され、出荷制限が続いている。しかし、淡水魚の餌源となる水生昆虫の放射性Cs移行メカニズムは十分に理解されていなかった。そこで同研究チームは、2018年に福島県内の河川で水生昆虫(ヒゲナガカワトビケラ、ヘビトンボ)を採集し、放射性Cs濃度を個体ごとに計測した。その結果、放射性Cs濃度に個体ごとのばらつきが見られ、セシウムボールを取り込んでいる個体の存在が示唆された。さらにオートラジオグラフィー(放射性物質の分布を画像化する手法)による分析を進めたところ、ヒゲナガカワトビケラ46匹中4匹からセシウムボールが検出された。一方、ヘビトンボからセシウムボールは検出されなかった。こうした差異は、ヒゲナガカワトビケラは石の隙間に網を張り、川を流れる藻類や有機物などを捕食するが、ヘビトンボは肉食性であることに起因していると考えられた。本研究では、ヒゲナガカワトビケラの餌となる藻類や河川流下物からもセシウムボールを発見している。すなわち、セシウムボールが藻類等を経て水生昆虫に取り込まれるというルートが明らかになった。セシウムボールは不溶性であり、体内に取り込まれてもCs自体が筋肉などの体組織に取り込まれるリスクはほとんどない。しかしながら、不溶性Csは水溶性Csとは全く異なった動態を示すことが知られており、今回の発見を通じて、生物試料中のCs濃度を評価する際にセシウムボールを考慮する必要性が高まった。セシウムボールを含めた放射性Cs動態を解明することにより、渓流生態系における放射性Cs濃度の予測精度向上が期待できるという。
情報源 |
【オンライン情報源1】 国立環境研究所 報道発表 【オンライン情報源2】 電力中央研究所 プレスリリース 【オンライン情報源3】 日本原子力研究開発機構 プレスリリース 【オンライン情報源4】 東京大学大学院理学系研究科 ニュース |
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配布形式1 |
【交換形式名称】HTML 【版】不明 |
タイトル | セシウムボールは食物網に取り込まれていた 国環研など |
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日付1 |
刊行日: 2022/07/14 |
要約 | 国立環境研究所、電力中央研究所、福島県環境創造センター、日本原子力研究開発機構ほか3研究機関・大学からなる研究チームは、セシウムボールが水生昆虫などに取り込まれていることを実証した。セシウムボールとは、ガラス質でセシウム(Cs)を相対的に多く含む粒子(サイズ:1 μm~1 mm程度)のうち、比較的サイズが小さく、球形を成す粒子の通称。東京電力福島第一原子力発電所事故初期の限られた時期に放出された不溶性Csに由来し、同事故固有の産物と考えられている。福島県の一部地域では放射性Cs濃度が100 Bq/kgを超える淡水魚が散見され、出荷制限が続いている。しかし、淡水魚の餌源となる水生昆虫の放射性Cs移行メカニズムは十分に理解されていなかった。そこで同研究チームは、2018年に福島県内の河川で水生昆虫(ヒゲナガカワトビケラ、ヘビトンボ)を採集し、放射性Cs濃度を個体ごとに計測した。その結果、放射性Cs濃度に個体ごとのばらつきが見られ、セシウムボールを取り込んでいる個体の存在が示唆された。さらにオートラジオグラフィー(放射性物質の分布を画像化する手法)による分析を進めたところ、ヒゲナガカワトビケラ46匹中4匹からセシウムボールが検出された。一方、ヘビトンボからセシウムボールは検出されなかった。こうした差異は、ヒゲナガカワトビケラは石の隙間に網を張り、川を流れる藻類や有機物などを捕食するが、ヘビトンボは肉食性であることに起因していると考えられた。本研究では、ヒゲナガカワトビケラの餌となる藻類や河川流下物からもセシウムボールを発見している。すなわち、セシウムボールが藻類等を経て水生昆虫に取り込まれるというルートが明らかになった。セシウムボールは不溶性であり、体内に取り込まれてもCs自体が筋肉などの体組織に取り込まれるリスクはほとんどない。しかしながら、不溶性Csは水溶性Csとは全く異なった動態を示すことが知られており、今回の発見を通じて、生物試料中のCs濃度を評価する際にセシウムボールを考慮する必要性が高まった。セシウムボールを含めた放射性Cs動態を解明することにより、渓流生態系における放射性Cs濃度の予測精度向上が期待できるという。 |
目的 | ニュースリリース等の配信 |
状態 | 完成 |
問合せ先(識別情報)1 |
【組織名】国立環境研究所 【役職名】 【個人名】 【電話番号】 【FAX番号】 【住所】 【E-mail】 【オンライン情報源】国立環境研究所 【案内時間】 【問合せのための手引き】 【役割】情報資源提供者 |
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分野 | 自然環境 |
種別 | ニュース・イベント:ニュース:国内ニュース |
場所 | アジア:日本 |
キーワード | オートラジオグラフィー、淡水魚、渓流、セシウムボール、出荷制限、水生昆虫、東京電力福島第一原子力発電所事故、不溶性Cs、ヒゲナガカワトビケラ、ヘビトンボ |
言語1 | 日本語 |
文字集合1 | utf8 |
主題分類 | 環境 |
ファイル識別子 | 112891 |
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言語 | 日本語 |
文字集合 | |
親識別子 | |
階層レベル | 非地理データ集合 |
階層レベル名 | 国内ニュース |
日付 | 2022/07/19 |
メタデータ標準の名称 | JMP |
メタデータ標準の版 | 2.0 |
国内ニュース | https://tenbou.nies.go.jp/news/jnews/detail.php?i=34032 |
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